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「あのさ、」
沈黙を破ったのは、マイキーだった。
「オレが甘かった。」
「謝ることじゃないよ。」
「でもさ、オレとダチになって、あんなふうに学校で歩いたの見られたりしたら、お前確実に危ないよな。ケンチンに言われるまで、分からなかった。」
「…うん。」
「だから、もし、お前が許してくれるなら、ひとつ提案がある。」
「提案?」
マイキーの口から提案という言葉が出たのもまぁ驚きだが、気になるのはその内容だ。
この状況を踏まえての提案なんだろうが、内容の予想がつかない。
首を傾げていると、マイキーが私の手を取って再び口を開いた。
「オマエ、オレに空手教わらない?」
「ええっ?!」
なるほど、そう来たか。
オマエも強くなれば良いよな!理論ね。
確かに無敵のマイキーに鍛えてもらえればその辺の不良くらいは何とか出来るようになるだろう。
「…やっぱ、ダメか。」
しばらく黙っていると、マイキーが萎れたようにそう言った。
良くない予感がする。
ドラケンの話から察するに、ここしばらくで私はマイキーの友達枠にしっかり収まってしまっている。
ここで断ってマイキーを悲しませてしまえば、本編にも影響が出かねない。
接触が増えてしまうのは懸念事項だが、仕方がない。
何とか上手く帰れるタイミングを見つけるまで、『私』がこちらに残って乗り切るしかない。
「良いけど…私にできるかな?」
「オレが教えるから!な?」
頷いた瞬間、マイキーの表情が一気に明るくなる。
ぱぁぁっという効果音が聞こえてきそうなくらいだ。
「じゃ、退院した週の土曜日からな!絶対来いよ!」
ルンルンのマイキーを尻目に、私はこれから経験することになるであろう苦労に、少し思いを馳せた。
八・三抗争編[完]
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駅前でよく売ってるわらび餅(プロフ) - 作者の推しはマイキーとエマちゃんです。 (2021年9月4日 22時) (レス) id: d64e30d257 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駅前で売っているわらび餅 | 作成日時:2021年8月24日 18時