Another trip over the wall[東京リベンジャーズ] (ページ46)

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でも、ある時急に、いつものあいつに戻った。
俺が絡んでも一向に構ってくれない。それどころか勉強があるから、と冷たくあしらわれる。

この時、俺は寂しい、と思った。
ただのクラスメイト。そう思っていたのに、そいつに無視されて俺は悲しくなっている。

気がつけばエマに相談していた。エマは掛け合ってみると言ってくれた。エマがやたらニヤニヤしていたけど、その理由はよく分からなかった。

でも、武蔵祭りに行くって話をエマから聞いた時はちょっと嬉しかった。

なのに、呼び出された挙句、抗争、そしてケンチンが刺されて。
あんなに気にしてたのに、俺はケンチンのことでいっぱいいっぱいで、あいつがあんなことになっていたなんて微塵も知らなかった。

あいつが怪我をしたことを知ったのは、学校の始業式の日。
始業式にあいつが居なくて、ケンチンに話を聞いた。
初めは誤魔化すような態度を取られたから問い詰めたら、あいつが、エマとタケミっちのヨメを庇って大怪我を負ったと教えてくれた。

その瞬間、俺の中でぷっつりと何かが切れた。

気がついたら窓ガラスを拳で割っていて、俺の手は血塗れになっていた。それから、急に心が空っぽになったような気分になった。

その時、俺は初めてあいつが大切な存在なんだと自覚した。いなくなることがショックなくらい、大切な人。

こんな気持ちを抱いたのは初めてだった。

この気持ちが何なのか、俺は正直よくわかっていない。

ただ、あいつが目覚めたって知った時、ケンチンが助かった時と同じくらいほっとして、泣いた。

本当はすぐに会いに行きたかったけれど、ケンチンに止められた。

一日経った今、ようやく会いに行ける。
言いたいことは沢山ある。

でもまずは謝らなきゃいけない。
昨日、ケンチンが言った。
あいつは不良じゃない。巻き込んじまったからには、きちんと誠心誠意謝れ、と。

ケンチンの言う通りだ。
俺がどう思おうと、あいつはただの中学生。
本来ならこんなことにはならないはずだ。

あいつが入院している病院に着いた。
1ヶ月も寝てたんだ。積もる話もある。
嫌われているかもしれない。

でも、

まずは、ごめんなさいだ。

俺は深呼吸をすると、病室のドアをノックした。