9:出た ページ9
.
「んん……あ…?……うわぁ、やっべぇ、ガチ寝してた…」
結局最後の最後まで居残り、全ての仕事を終えて車に戻った。そしてどうやら車内で一服しているうちに眠ってしまったらしい。辺りもすっかり暗くなっていた。
無理な体勢で寝ていたからか体中が痛く、外に出て思いっきり伸ばせばボキボキと骨が鳴った。ついでに重たい肩も回したが、この疲労とは今後一生のお付き合いになりそうだ。
「……あ?あそこ、明かりついてね?」
ふと目に入った校舎。その一角がぼんやりと光を漂わせていた。
んー、ちゃんと見回りしたはずなんだけど。やっぱ疲れてんのかな。帰ったら悠仁に慰めてもらおう。
そんなことを思いながら、まだ少し重たい目をなんとかこじ開けて校舎に入り、明かりのついていた部屋へと向かう。
閑静な階段にコツコツと足音が響く。静かすぎて逆に気味が悪い。こういう夜ってなんか出そうだよなー……はぁ、帰りてえ。
「……うわ、出た」
「きききょょうはあぁ……コ…こく、コ゛のぉ、シ゛カンン゛…」
…キッショ。何?キモすぎなんだけど。マジで。
目玉いっぱいつけてんじゃねーよ。マジキモい。つーか何、国語って。国語の教師かテメェはよ。俺はそんなクソみてぇな授業受けたくねぇぞ。
え?てかなんでここにいるわけ??ほんとキモいんだけど。俺見回りに来ただけなんですけど。完全な巻き込まれなんですけど?
「つか、一丁前に喋ってんじゃねぇよ。何様のつもりだ?あぁ?」
「ココ…こ、コクコ゛……」
「…チッ。だから〜ッ、テメェは国語の教師かって聞いてんだ…よッ!!」
とりあえずグーパンを喰らわせると、目の前のキモい体は一瞬で弾け飛ぶ。
まぁ、見た感じ雑魚だったし。これくらいならまだ
上着を脱いでネクタイを取ると幾分か動きやすくなった。とにかくまずはあの部屋に行かねぇと。万が一誰かいたとしたらそれこそヤベェし。
そう思って階段を上ろうと足を上げたと同時に上から叫び声が聞こえた。
「マジでいたのかよ……クソッ」
考えるより先に、気づいた時には走り出していた。
途中の廊下にもウジャウジャいたが、まぁなんとか振り切って一直線に声の聞こえた方へと駆け抜ける。
無事でいてくれと願いながら。
.
117人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朝茶(プロフ) - もぶさん» ありがとうございます!そう言っていただけるとますます頑張れます!これからもよろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 21時) (レス) @page20 id: 6d4df1d25a (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品すごい好きです!更新頑張って下さい!! (2022年9月19日 15時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無季 | 作成日時:2022年7月9日 21時