44:等級 ページ44
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「ウグッ……」
「はーい。俺の勝ちー」
何本目かわからない手合わせ。大の字になって地面に寝転がる恵を見下ろす。だいぶ息上がってるみたいだな。まぁ、俺も久しぶりで盛り上がっちまったし。あ、ちなみに全部恵の負けな。
「うわ…」
「ボロ負けだな」
「強いな、アイツ」
「ツナマヨ」
「え、何。オマエら見てたの」
「そりゃあんだけぶっ続けでやってたら見るわよ」
「少しはらしくなったじゃねぇか、恵」
「…やめてください」
もう落ち着いたのか、ゆっくりと体を起こす恵。そのまま疲れを含んだ表情で俺に視線を向ける。
「…強いんですね」
「なんでちょっと不満そうなんだよ」
「別に」
「まぁいいけど。それなりに鍛えてるはいるよ」
「でも今まで
「そうなのか?」
「高専出た後は大学行って、ずっと教師やってたからな」
「その割には全然鈍ってねぇな」
「だから鍛えてるって言ったろーが」
俺そんなに信用ねぇの?心外なんだけど。割とマジで悩む案件だぞコレ。
真面目にどうするべきかと考えていると、トントンと肩を叩かれる。
「どうした?棘」
「オマエが何級か気になるんだと」
「しゃけ」
「何級?あー、なんだっけな。ちょっと待てよ…」
夜蛾さんからは何も言われてねぇし、通知を受けた記憶もない。てことは、昔のままか。あれ、俺何級だったっけ。
「えーっと……あ、多分一級だった気がする」
「多分って…」
「うろ覚えなんだよ」
「でも、一級なら納得だな」
「高菜」
「一級ってそんなに強いっけ?」
そう言ったら「何言ってんだコイツ」みたいな目で見られた。え、いや逆になんで。俺は別に等級とか関係ないと思うんだけど。
二級でも一級に勝てることはあるし、一級でもそう。その時の状況や術式の相性も関係してくるから、結局は等級なんて目安の一つでしかない。元々は実力差をより明確に区別するために作られたものだろ。けど、術師は人手不足が常だし、本格的に術師として働くようになればいちいち任務に文句を言う暇もなくなる。
だから等級自体はそこまで重要じゃないと思うけどな。
「瀬川先生って意外とちゃんと考えてますよね」
「だから一言余計だって」
「まぁ、五条よりはマシよね」
「また悟……」
もうなんか、どうでもいいわ。いいよ、悟と同レベルでも。アイツが強いのは俺もよく知ってるし。オマエらが納得してるならそれでいいよ。
「あー、まぁ落ち着いたら再開しろよ。俺は少し休むから」
…やっぱアイス買お。
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朝茶(プロフ) - もぶさん» ありがとうございます!そう言っていただけるとますます頑張れます!これからもよろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 21時) (レス) @page20 id: 6d4df1d25a (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品すごい好きです!更新頑張って下さい!! (2022年9月19日 15時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無季 | 作成日時:2022年7月9日 21時