43:鍛錬 ページ43
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「あっぢー…元気だなアイツら。若さか?」
真夏の炎天下に忙しなく鍛錬をする生徒達。見てるだけでも暑いわ。特にパンダ。あの毛量で暑くないわけねぇだろ。近づいただけでも暑そう。
あー、マジで暑いな。アイス食べたい。買ってこようかな。
「瀬川先生」
「ん、あぁ、恵か。どうした?」
「鍛錬、付き合ってください。暇そうなので」
「一言余計だわ。まぁいいけど。つーか、オマエさっきまで真希とやってただろ」
「一区切りついたんです。それに、同じ相手ばかりじゃ実戦で対応できないでしょ」
「…オマエのそういうところは嫌いじゃねぇよ」
「やめてください。気持ち悪いです」
──辛辣だな、おい。
そんなことを思いながら、恵に続いて下へ降りる。真希とパンダがお互いに一本取ろうとしているのを、棘と野薔薇が座って眺めていた。その光景を横目に軽く体を動かしていく。
「前から思ってたけど、オマエ俺のこと嫌いなの?」
「別に。ただなんとなく五条先生がチラつくので」
「え、なんで悟?」
「特に意味はないです。早く始めましょう」
「ねぇ、なんで?」
「…面倒くさいな、この人」
なんで悟が出てくるわけ。意味がわからん。別に似てねぇだろ。つーか、言うほど仲良くねぇぞ。甘党でもないし、硝子にもクズ呼ばわりされたこともないし。
似てるとしたら……いや、1つもないな。マジでどこをどう見たら俺と悟が──
「うぉっ……不意打ちかよ」
「じゃあ真剣にやってください」
「わかったよ。ほら、いつでも来い」
あ、またあの顔。舐められてるって感じてるんだろうな。マジでそんなつもりで言ったんじゃないんだけど。
「!…へぇ、影に収納できるのか。便利だな」
「武器あるなら使っていいですよ」
「あー、今は手持ちないからこのままでいいかな」
「…じゃあ俺も使いません」
「なんで?俺は別に使ってもいいけど」
「不公平なので」
「実戦じゃ自分を有利にしてナンボだぞ」
「……いいんです」
「あ、そう」
うーん。イマイチ恵の思考が読めない時がある。まぁ、まだ出会って2ヶ月くらいだしな。手合わせすればわかるかも。俺も近接戦は久しぶりだし。
ビュン、と飛んできた蹴りを避けて、続けて眼前に迫る拳を受け止める。チッ、と雑に舌打ちする音が聞こえた。
…うん。まぁまぁ動けるな。
ちょっと楽しくなってきた。
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朝茶(プロフ) - もぶさん» ありがとうございます!そう言っていただけるとますます頑張れます!これからもよろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 21時) (レス) @page20 id: 6d4df1d25a (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品すごい好きです!更新頑張って下さい!! (2022年9月19日 15時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無季 | 作成日時:2022年7月9日 21時