31:授業と後輩 ページ31
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「はーい。今日はみんな大好き数学の時間だよー」
「なんかキャラ違くない?」
「もうちょっと真面目にやってください」
「俺、数学苦手!」
「辛辣だなオマエら。あと悠仁、俺も数学は好きじゃない」
前にも言ったように、俺はブランクがある分暫くは任務よりも教職の立場が優先されている。一年の副担である以上、教師としての仕事は全うしなければならない。普段は補助監督や窓が一般科目を教えているが、彼らも意外と忙しいらしいので今は暇な俺が受け持つことになっている。
「あー、ここは……ん?分かんねぇな。まぁいいや。計算すれば教科書に書いてある通りになるはずだからやってみろ」
「おい!適当すぎんだろ!」
「いや、だって数学専門外だし」
「だからって職務放棄すんじゃないわよ!」
「えー…」
「なぁ、兄ちゃん。ここどうしたらいい?」
「どこだ?」
「聞け!!」
「はぁ……」
そもそも専門外のことを上手く教えろって方が無理だろ。教えるにも限度があるわ。第一俺の専門は化学だっつーの。
あ、今化学だったら数学使うじゃんとか言った奴、ちょっと表出ろ。袖の下渡すから。
「んじゃ、とりあえず今日はここまで。ちゃんと復習しとけよー」
「復習も何も、ほとんど教わってないっつーの」
「そう?兄ちゃん、結構丁寧に教えてくれっけど」
「チッ。鈍感め」
「えぇ!?」
「右に同じく」
「伏黒まで…!」
…いや、聞こえてるからね?オマエら。
これでも高校にいた時は評判良かった方なんだけどな。
ま、悟よりはマシだろ。多分。
そんなことを思いながら自室へと向かっていると、奥から補助監督らしき男がやってくる。けど、俺はまだここに来て日が浅いし、補助監督とも関わりがないからどうせ知らないだろうと特に気にせずそのまま通り過ぎることにした。
「瀬川さん…?」
「あ?……どちら様?」
「え、あ…はは、そうですよね。私のことなんて覚えてませんよね……」
「……ブッ」
「…?」
「ハハッ。嘘だよ。オマエ、潔高だろ。伊地知潔高」
「ッ……お久しぶりです、瀬川さん…!」
「おう。久しぶり」
伊地知潔高。俺や悟の後輩で、高専にいた頃に面倒を見ていた1人でもある。これまた10年ぶり。
そういや補助監督になるって言ってた気もしないこともないが……少しやつれたか?いかにも疲れてますって顔してんぞ。
そう言うと、心当たりがあるのか苦笑いしてた。
…悟だな。
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朝茶(プロフ) - もぶさん» ありがとうございます!そう言っていただけるとますます頑張れます!これからもよろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 21時) (レス) @page20 id: 6d4df1d25a (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品すごい好きです!更新頑張って下さい!! (2022年9月19日 15時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無季 | 作成日時:2022年7月9日 21時