15：後悔 ページ15
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病院に着くと、伏黒達の怪我の具合を見て緊急と判断したのかすぐに治療が行われた。その間、色々な手続きや親族への連絡をしていたせいか瞬く間に時間は過ぎていき、ようやく落ち着いた頃には俺の疲労はピークに達していた。
「あー…づがれだ……」
相変わらずクソキモい呪霊共。久しぶりの戦闘。10年ぶりの悪友。そして、宿儺の器。
いや、この数時間でハプニング起こりすぎだろ。俺そこまで要領良くねーぞ、なんて思いながら、誰もいない待合室でだらりと姿勢を崩し、薄暗い天井を背にスマホを弄る。
「非通知…？誰だ？」
着信履歴にある『非通知』の文字。時間を見れば、ちょうど部活が終わり、生徒を見送っていた頃だった。
基本的に業務以外で連絡取らねぇし、非通知なんてもってのほか。つーか、来るとしたらスマホ持ってない悠仁くらい──
「ッ……！」
急いで受付に駆けつけ、その名を尋ねた。余程酷い顔をしていたのだろう、本来個人情報として教えることはできないはずのソレを、少しだけ声を下げながら伝えてくれた。
疲労からか、それとも想定外だったからか、あまりの衝撃に意識が飛びそうになる。少しずつ思考を停止する脳と、同時に胸底から湧き上がる後悔。
「じーちゃん……」
「虎杖倭助さんは、本日亡くなられました」
もう長くない。それは本人からも聞いていた。だから、半分冗談のつもりで言った。死ぬ時は看取ってやるから安心しろ、と。案の定、寄りすぎて跡のついた眉間に更に皺を寄せて「クソガキが」と罵られた。
でも、それでよかった。それがいつもの"じーちゃん"だった。他人に頼ることを好まない性格の頑固者。友達の一人もいやしねぇ。それでも、文句を言いながら他人の俺をいつも気にかけてくれた。
死ぬ時は看取る。これは本音だったし、そうなると思っていた。実際、見舞いに来るのは俺と悠仁だけで、その度に見舞いなんか来るなと突き放されたけど、その裏にある優しさには俺も悠仁も気づいていた。
「そうだ、ゆーじ……ッ、悠仁…！」
きっと、あの非通知は悠仁がかけたものだろう。本当なら、今日は俺も見舞いに行く予定だったから。
なのに、一人でじーちゃんを看取って、最後の手続きまで済ませて。その上変な指を喰って、平和とは程遠い世界に飛び込んだ。
悲しむ暇なんてありゃしねぇ。
「……ごめん」
電話の一つでも入れればよかった、なんて。
そんな浅はかな空想だけが頭を過っていた。
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朝茶(プロフ) - もぶさん» ありがとうございます！そう言っていただけるとますます頑張れます！これからもよろしくお願いいたします！！ (2022年9月19日 21時) (
レス) @page20 id: 6d4df1d25a (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品すごい好きです！更新頑張って下さい！！ (2022年9月19日 15時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無季 | 作成日時：2022年7月9日 21時
