2：かわいい弟 ページ2
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「え、俺、マジで説教されんの？」
「男に二言はないぞ悠仁」
「えぇ…」
──放課後。ドサリと座り込む俺の目の前には、気まずそうにして立つ悠仁がいる。
あの時は不可抗力で頭を撫でてしまったとはいえ、学校で兄ちゃん呼びはさすがにまずい。一応教師と生徒だぞ。何よりあんなにかわいい顔をする悠仁が一番悪い。
「つーか、そもそもの話。オマエ、なんでまだ俺のこと兄ちゃんって呼ぶわけ？」
「兄ちゃんは兄ちゃんじゃん」
「近所の、な」
そう。俺達は兄弟ではない。養子とかそんなんじゃなく、普通に他人。ただ家が近くて、たまに遊び相手になってただけ。
でも歳はかなり離れてるし、学校だって一度も一緒に行ったことはない。本当に休みの日だけ、しかもまだ言葉もろくに話せない頃に相手をしてやったくらい。高校は東京だったし、がっつり一緒にいたのは大学でこっちに戻ってきた時から。
なのに、何故か俺のことをずっと「兄ちゃん」と呼んでくる。
懐いてくれるのは嬉しい。一人っ子だし。本当に弟ができたみたいだったから。いや、何なら今もそうだけど。
でも、でも──
「さすがに学校はまずいだろ」
「だから頑張って瀬川センセーって呼んでるじゃんか〜」
「いや、無意識に兄ちゃんって出てるんだわ」
「……」
顎に手を当て、考えながら苦い顔をする。
……やっぱ気づいてねーな、これ。
「あのな。悠仁」
「？」
「オマエが俺のことを兄ちゃんって呼んでくれるのは嬉しい。それに、俺もオマエのことはかわいい弟だと思ってる」
「うん」
「でも、俺には教師、オマエには生徒という立場がある。それを自覚して自重するのが大人だ。俺は大人だからそうしなきゃならない」
大人というのは本当に、もうクソ一つじゃ足りないくらい面倒くさい生き物で、できれば今すぐ社会から逃げたいくらい。
だけど、教師である以上、俺は"大人"として"子供"である生徒の手本でなくちゃならない。大人の言動一つで子供は大きく左右される。恐らく家族の次に子供と深く関わる教師はその責任の大きさが半端じゃない。
教師とて人間。ミスもするし、怠けたい時もある。それでも生徒の前では完璧な大人を演じる。そこが教師の辛いところだ。
「…じゃあ、二人の時は兄ちゃんって呼んでいい？」
「当たり前だ。つーか呼べ」
「ふはっ。めっちゃ早口じゃん」
……あー、マジでかわいい。俺の弟かわいすぎる。
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朝茶(プロフ) - もぶさん» ありがとうございます！そう言っていただけるとますます頑張れます！これからもよろしくお願いいたします！！ (2022年9月19日 21時) (
レス) @page20 id: 6d4df1d25a (このIDを非表示/違反報告)
もぶ(プロフ) - この作品すごい好きです！更新頑張って下さい！！ (2022年9月19日 15時) (レス) @page19 id: 38a56b994f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無季 | 作成日時：2022年7月9日 21時
