向かいはクマさん (ページ8)

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ゴジュウハチページ8

、

side慎太郎

なんて大胆なことを言ってしまったんだ。

だけど、彼女はきっと
俺の気持ちには気づいていない。

きょもが告白したと聞いてから
焦りと、自分はどうしていこうと言う不安に駆られた。

きょもより明らかに関わりも少なく
知っていることも少ない俺が

突然彼女に想いを伝えたら

きょものようにチャンスの時間はなく
即玉砕するだろう。

それなら、アピールするしかない。
せめて、俺が彼女を独占できる時間を作りたい。

彼女との特別な時間が欲しい。

最初は身を引こうと考えていたくせに
段々と貪欲になる俺は

彼女を自分の恋人にしたいという思いが
関わらない間にも大きくなっていたのだと実感する。

『う、嬉しい。
よろしくね』

これは彼女に響いたのだろうか。

軽い言葉だったが赤らめた頬が
俺を少しでも意識してくれたのだとわかる。

「じゃあまた明日ね」

『うん、また明日ね』

普段しっかり顔を合わせることがなかなかない俺たちが
"また明日"と確実に言葉を交わせるのは
大きな進歩と呼んでも良いのだろうか。

明後日は休みなのでその日をどうするか考えながら俺は家路についた。