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盛山side
後輩に連れられて行ったガールズバー。
そこで働いてる愛理って言う女の子と出会った。
少し儚くて脆くて守ってあげたくなる
そんな女の子だった。
俺はそんな愛理に惹かれた。
でも少し引っかかった。
俺のタバコに火をつける手つきは慣れているのに、俺が聞くまで名乗らんかったり、
愛理の話は全て誰かから聞いたことのあるような内容やった。
どれだけ俺が質問したところで、ほんまのことなんて言えんよなとは頭では分かっておきながら、やっぱり少し寂しかった。
しかし愛理から連絡先を聞かれたとき、マニュアル通りだとは分かっていたが嬉しかった。
俺はその日から週1で愛理が働くガールズバーに通った。
毎回他愛のない会話をして仕事の疲れを癒した。
そして朝まで飲み、愛理が上がるときに俺も家へ帰った。
愛理と出会ってから1ヶ月が経ったとき
盛山なあ、明日の夜飲みに行かん?
俺は愛理を
店外に誘った。
断られたらもう愛理とは会えないなとは分かっていたが、早く客と店員という関係を壊したかった。
数時間経った頃
愛理行きます
とだけ返信が来た。
俺はこの着飾っていない返信が嬉しかった。
いつもは俺に好意があって媚びているような女の子ばかりと遊んでいた。だから愛理のこの雰囲気は俺にとって新鮮だった。
次の日の昼、よく行く居酒屋に予約を入れた。
そして夜公演が終わりに急いで劇場を出れば約束時間に間に合わせることができるなと頭の中でシュミレーションしていた。
しかし夜公演終わり、いつもはLINEのやり取りしかしていないのにAからの着信履歴があり、気になってしまって愛理との約束の時間が迫っているなか電話をかけなおしてしまった。
A「もしもし?」
盛山『盛山やけど、なあ、さっき連絡くれてたやろ
気になってかけ直したんやけど』
A「あぁ、ごめんね、
いつものやつだから。
でももう大丈夫だから、いつもごめんね」
そう一息で話すAは絶対大丈夫なんかじゃなくて、2回も謝らせてしまっている状況に、俺は情けなくなった。
盛山『俺こそごめん。話聞かせて』
A「うん、ありがとう」
そう言ってAは、状況を話してくれた。
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作者名:ことり | 作成日時:2021年1月18日 21時