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私たちの出会いは私が働いているガールズバーに盛山さんが後輩に連れられて来たことだった。
盛山さんがお店に入ってきた時はとても驚いた。
でも瞬時に、これは繋がるチャンスだと思いリップグロスを塗り直した。
盛山さんたちが席に着くと私の鼓動はより早くなった。
盛山『あの、ここってタバコ大丈夫?』
??「大丈夫ですよ。よかったら」
と言って私は盛山さんのタバコにお店のライターで火をつけた。
盛山『あぁ、ありがとうございます。
あの、名前、聞いてもいいですか?」
??「あっ、すみません。
愛理っていいます。」
(あぁ、やってしまった。お客様が席に着いたらまず先に名前を言うのがお店のルール。この店で2年も働いているのに、新人の子のような間違いをしてしまった)
盛山『愛理さんは、なんでこの店で働いてるん?』
よく聞かれる質問だった。だからいつもと同じように
愛理「学費のためです。」
と答えた。
これはよくあるお客様からの同情を誘うための答えで、皆んながこれを使い回している。
本当の理由はただお金が欲しいだけだった。
ブランド物のバッグに財布にアクセサリー.....
それらを身につけることで得られる快感が癖になってしまった私は普通のバイトではお金が足りなかった。
盛山『へーそうなんや。大変やろ』
愛理「そんなことないですよ。
楽しく働かせてもらってます。」
それから盛山さんからの質問をいくつか答えた。
盛山さんの左手首につけている時計の針が25時を指していた。
盛山『うわ今日も朝までコースやわ』
と嬉しそうに言った。
愛理「お仕事とか大丈夫なんですか?」
盛山『あぁ〜、俺芸人やねん』
愛理「やっぱり!なんか見たことあるなーって思ってたんですよ」
「実はあなたのファンですよ」なんて言えるわけがない。だからこうやって小さな嘘を積み重ねていく。
盛山『え〜こんな可愛い女の子に知ってもらえてるなんて嬉しいな〜〜』
なんて内容のない会話をしていた。
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作者名:ことり | 作成日時:2021年1月18日 21時