君の好きなひと (ページ3)

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盛山side

居酒屋に入る数時間前、
劇場の喫煙所に向かう俺に
突然相方のリリーが

「俺、Aちゃんのこと

　
　狙ってもいい？」

って聞いてきた。

『いや、なんでそんなこと俺に聞くん』

「もしものことがあったら面倒やから」

そう答えたリリーはいつもより真面目な顔をしていた。

もし俺がAのこと好きやったらどうするつもりやねん
と軽く心の中でツッコミを入れて
俺はA達が待っている居酒屋へ足早に向かった。

いつもリリーが連れている女の子は
お姉さん系の夜の仕事をしているだろうなと思わせるような見た目をした人。

一方Aは、素朴な雰囲気を纏っている。

だから、リリーがAを気にいるとは思ってもいなかった。

てか、俺がAを1ヶ月前に劇場に誘った時が2人の出会いなんちゃう。あの時Aも嬉しそうにしてたもんな～なんて思い返していた。

そんなことなら今日、Aたちと飲む時にリリーの話でもしようかな

なんて考えながら
いつもの居酒屋へ向かった。

居酒屋の奥からみんなの話し声が聞こえた

(あぁ、もう始まってるやん)

『ごめんごめん、お待たせ』

「あっ！！やっとモリシきた～～」
って皆んなが出迎えてくれた

そっからは学生の頃の話や
アイツもうすぐ子ども産まれるらしい
なんて他愛のない話をしていた。

お酒もいい感じで回ってきた時に
俺からAの近くの席に座って
数時間前の話を思い出しながらAだけに聞こえるようにあのことを話した。

『リリーがさ、
　Aのこと気に入ってるらしい』

そう俺が言うとAはなんだか嬉しそうだった。

A「劇場で１回会ったきりだし、
　そのあとはメールでしかやり取りしてないよ？」

『ふーん、リリーの割に珍しいやん』

A「え？どういうこと？」

『いや、なんでもないなんでもない』

(こんなことAには言えないが、もしかしたらリリーのことやから、やるとこまでやってると思ってた)

『まあ、そういうことやから』

「えー、どういうことよ」

なんて笑っていた。

俺はトイレに行こうと思い、携帯を持って席をたった。

用を済ませ、携帯を開くと

１件の着信が入っていた。

俺が席に戻ると時計の針が23時半を指していた。

明日も皆んな普通に仕事があるから
ここでお開きにすることになった。