お付き合いしましょう【森鴎外】

一目惚れ＊２ ページ2

彼女と別れて黒い棟、ポートマフィア本部。

いつものように絵を描いているエリス。書類を見ている森＿＿は、居ない。


「あああああああ！！！」


ゴロゴロゴロゴロと床を転がり続ける。結んでいる髪は解け、髪もぼさぼさだ。中に入って来た中原は今の状況に、口に端がひくひくと動いた。

中原は机に上に森宛ての書類を置いて、エリスに近づいて「首領(ボス)はその、何か？」と控えめに聞く。「ああ、それはね」とエリスは一回クレヨンを置いて、笑った。


「“ひとめぼれ”したんですって」


「……はぁ？」


「Aに」


「A？」


「綺麗な綺麗な女性の事だよ中也くん！！」


「うわっ！」


彼女の話題を出した瞬間、水を得た魚の様に復活。


「可憐でいて凛とした雰囲気を持ち、さらりと綺麗な髪が風に揺れるとそれもまた美しい！！」


立ち上がって片手を軽く掲げながら休む暇無く彼女について語る。赤信号の様に止める物(人)が居ないので、誰も止められない。

たった一度だけしか見ていないのに、こんなに喋れるのは凄いと思うが、変な所で力を使うなと中也は思った。


「…エリス嬢、あのままだと仕事に支障が…」


「ふぅ……」


エリスは椅子から下りて、森に何かを耳打ちする。

その瞬間、中原が机に置いた書類を持って執務室に駆けて行った。


「何を言ったんですか？」


「仕事済ませたらA会いに行くわよ」


「(道理ででやる気が出たわけか……)」

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