恋人契約【黄】

番外編 ページ39

久々に外でデートしたいよねって話になって、照さんお気に入りのわらび餅ドリンクを買いに来た。

少し並んでゲットして、車戻るかー、と駐車場まで向かう道で、照さんがふと、こんなことを言い出した。

「そういえばさ、俺、最初の頃、Aさん妹みたいかもーって思ったんだよね」

なんかわかんないけど。興味もったのそれもあるかなあ、なんて言いながら、わらび餅ドリンクを飲む照さん。

「…それでいえば、私も近しいこと思ったかも」

「え、ほんと」

お兄ちゃんいたらこんな感じかも、とか？と目をキラキラさせている。

「お父さんみたいだなって」

「え？お父さん？」

「うん、お父さん」

「…え？なんで？」

「最初に握手したとき、手ゴツゴツしててお父さん思い出して」

うん…と少し落ち込み気味になりながらも話を聞いてくれている。

「あとは、過保護な部分があったから小さい時のお父さんみたいだなって思ったり」

「……うん」

「あとは……」

言いかけてる途中で、頬を片手でむにっと掴まれる。

「ひかゆしゃん」(照さん)

「あのさ、俺、あなたの彼氏ですからね」

お兄ちゃんみたい、とかなら許したけど、お父さんはさすがにちょっと嫌かなあ、なんてまた拗ねちゃったみたい。

頬をむにむにする照さんの手をぎゅっと握る。

「！」

「もちろん、私も照さんの彼女ですからね。てか、もちろん照さんは彼氏だし。それが変わることないし」

…なんかちょっと恥ずかしいこと言っちゃったかも、と少し照れながら照さんを見つめると、うーん、と真面目になにか考えていた。

「…照さん？」

「……いや、変わるんじゃない？Aさんは、彼女から奥さんになるし、俺も彼氏から旦那さんになるし」

「へ」

「え、…っ！！！…いや、その、一旦、忘れて」

動揺を隠せないようで、わらび餅ドリンクを落としそうになる照さん。

結婚する気まんまんか…かわいいな……

照れて、無言になってわらび餅ドリンクを飲む照さんがまたかわいらしくて、ぎゅっと握っていた手を恋人繋ぎにするっと変えて、早く行こ、なんて言って歩き出した。

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