𝟐𝟐 ページ34
「…私には、姉がいるって話はしました、よね」
「…うん」
「とても優秀で優しくて素敵な人でした。嫉妬よりも先に尊敬がでてきてしまうぐらいには、とても素敵な」
「………だけど、姉は、私が中学生のときに事故で亡くなりました」
「っ!」
「それ以来、優秀な姉へ向けてた関心、期待を私が全部背負うことになりました。…愛されていたとは思います。私も姉も親のことも大好きでした。だからこそ、痛くて苦しくて仕方なかった。でも、期待に応えられるなら、いいって思ってました。だけど、あるとき気づいちゃったんです。自分ってなんなんだろうって」
「姉の代わりに頑張ってきた自分の中身がからっぽだと気づいた時には、遅かった。もう私…"A"として生きるには、自分を見失いすぎたんだって。……だから、終活を始めました。少しでも悔いのないよう終わりたかったから」
「…その1つとして、恋人契約?」
ぴんときたのか照さんはそう聞いてきた。
「はい。生憎、今まで勉強ばかりに時間を費やして、友達はいても恋人ができることはありませんでした。周りの友達も恋人はいらないという考えの子ばかりでしたから、だけどどうせなら恋人がいる時間がどれだけ素敵なのか、体験してみたかったんです」
そしたら、照さんみたいな素敵な人に出会っちゃいましたけど。そんなことを言って笑ってみせると、照さんの大きな体が私に覆い被さった。抱きしめられたのか、とぼんやりと頭の中で思う。
「…A、さん」
「なんですか、照さん」
「……は………の」
「…ひかるさん?」
照さんの声が小さくてよく聞き取れなかった
「今は、…どう思ってるの」
今もまだ、死にたいの
そう聞いてきた照さんの目は潤んでいて、心配そうな顔をして私を見るのだ。
765人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わたあめ?(プロフ) - 本当ですか!?💖ありがとうございます✨楽しみに待ってます☺️ (4月18日 8時) (レス) id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
もりの(プロフ) - わたあめ?さん» コメントありがとうございます🫣💖ぜひ機会あれば書きたいと思います✊ (4月16日 12時) (レス) id: 48af4ceda7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ?(プロフ) - よければなんですが、バッドエンドも見てみたいです。🥹💦 (4月16日 7時) (レス) id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ?(プロフ) - ヤバい…めちゃくちゃ感動しました😭✨ (4月16日 0時) (レス) @page37 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もりの | 作成日時:2024年3月7日 14時