恋人契約【黄】

𝟏𝟖 ページ29

恋人契約終了まで、残り2週間をきった。

「お疲れ様」

仕事最終日、迎えに行くね、と岩本さんから連絡がきてたからてっきり車の中で待ってくれているのかと思いきや、会社の前で小さな花束を抱えて待っていた。

「岩本さん！あまり外に出てると騒がれちゃいますよ…？！」

いくらキャップを被ってるからってバレないとは限らない。この人、アイドルの自覚がたまになくなるのが怖い。

「まだ待って5分ぐらいだし大丈夫だよ。…はい、これ」

「花束、私宛でしたか」

「当たり前。今日で仕事終わりでしょ？」

ちゃんと選んだんだから、家でちゃんとお手入れしてね？と言う岩本さんはにこにこだ。

「カスミソウ、ですか」

綺麗だけど、あと2週間もしないうちには手入れできなくなって、そのうち枯れてしまうだろう。

「カスミソウの花言葉、知ってる？」

「花言葉の意味も込めて、渡してくださったんですか」

「どちらかというと花を渡すってそれ込みのことが多くない？」

「…まあ、確かに」

「でしょ？…そう、それで、わかる？」

「カスミソウの花言葉は、確か……」

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