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「…岩本さんが、恋人契約してくれて、恋人として接してくれて。今まで私のことをこんなに見てくれる人なんて、いなかったから」
「…うん」
「だから、恋人契約が終わったあと、何事もなく他人に戻ってしまうことが、少し怖かった。…やることリストで恋人を作る、っていうのがあって、私はそれが埋まればよかったのに、」
たった少ししかいないのに、ぬるま湯に浸かっているような、そんな心地良さがあって。そう言うと、岩本さんがぎゅっと手を握ってきた。
「、え」
「他人に戻るなんてこと、ないよ」
まっすぐ見つめてくる岩本さんはやっぱり真剣で。でも、目を逸らさないよう、私もじっと見つめた。
「恋人契約は、興味本位だった。急に声をかけられて、なんなんだこの子、って思ったけど、ふとした時の表情とか瞳が、濁って、暗くて、なにがこの子をそんな顔にさせてるんだろうって」
「でも、キラキラした目とか優しそうな顔でお姉さんの話をしたり、話してて案外コロコロ表情が変わったり。そんな一面を知ったら、君のことを更に知りたくなった」
握る手の力がぐっ、と強まった気がした。
「恋人契約は3ヶ月で終わりかもしれない。けど、Aさんのこと忘れたりなんてしないし、恋人の関係が終わっても、俺はAさんのこと友達だと思ってると思う。何か困ったことがあれば助けになりたいし、支えさせてくれるならいくらでも力になる」
だから、少しでもこの恋人のうちに君のことを、Aさんのことを教えてよ。
そんな風に言ってもらえる、なんて、もうこの人生に悔いはないかもしれない。
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わたあめ?(プロフ) - 本当ですか!?💖ありがとうございます✨楽しみに待ってます☺️ (4月18日 8時) (レス) id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
もりの(プロフ) - わたあめ?さん» コメントありがとうございます🫣💖ぜひ機会あれば書きたいと思います✊ (4月16日 12時) (レス) id: 48af4ceda7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ?(プロフ) - よければなんですが、バッドエンドも見てみたいです。🥹💦 (4月16日 7時) (レス) id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ?(プロフ) - ヤバい…めちゃくちゃ感動しました😭✨ (4月16日 0時) (レス) @page37 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もりの | 作成日時:2024年3月7日 14時