恋人契約【黄】

𝟏𝟏 ページ19

「ごめん、遅くなっちゃった」

「あ、いえ、私も来たばかりなので、全然」

あれから連絡して、少しやりとりをして。2人とも仕事が忙しくて、なんだかんだ会うのは2、3週間ぶりで、恋人契約してから約1ヶ月も経っていた。
私も岩本さんも今日はお休みで昼間から少しドライブでもする？と私の最寄り駅で待ち合わせすることになったのだ。
あっちに車停めてる、と言って歩き出す岩本さんについていく。

「あの、」

車に乗る前に言わなくちゃ、とどきどきしながらも声をかける。

「ん？どうしたの、Aさん」

「あの、この前は、…ごめんなさい」

「この前…、あー、ご飯のあとのこと？」

いや、あれは俺がグイグイいきすぎたよね、と申し訳なさそうな顔をする岩本さん。

「いや、私が悪くて、その、」

「……大丈夫、言いたいことあるなら、ゆっくりで」

そこ、ベンチあるから、車乗る前に座って話そうか？と顔を覗き込んでくる。

「いわもとさんがちかいから」

「え？」

なんだか恥ずかしくて、苦しくて、呂律が回りきっていない、か細い声が出てしまった。

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