episode9 ページ9
「A!!靴だ!」
「カホリちゃんのと同じ…」
伊吹、と志摩さんが無線で伊吹さんを呼ぶ。そのまま私たちはコンテナの中へと駆け込んだ
奥から誰かが動いている音が聞こえる。
「行くぞ」
志摩さんの後ろをついて犯人を刺激しないように慎重に進む
その先で走ってきた伊吹さんと遭遇した。というより伊吹さんが見えた
伊吹さんに追いついた、と思ったら伊吹さんはジャンプをしてそのまま犯人に突っ込む
飛び蹴りなんて初めて見た
「普通に止めろアホ」と志摩さん
足が滑ったなんてそんな馬鹿なことは無いと思う
私はカホリちゃんに駆け寄り縛られてる手足を解く。伊吹さんが「怖かったなぁ」と後ろで吠えてる志摩さんを無視してカホリちゃんに上着をかけた
この人もしかして残念イケメン…?という言葉がさっと過ぎって私は慌てて頭を振る
それから横を見て咄嗟に叫んだ
「伊吹さんっ!後ろ!」
伊吹さんが振り返るよりも犯人の方が早くてスタンガンが伊吹さんに触れる
思わず駆け寄ろうとして志摩さんに
「Aさんは真木さんのこと見てろ!」
と言われてカホリちゃんの肩を優しく支え直す。志摩さんは犯人の持つスタンガンを蹴飛ばしてそれに「ナイスっ!ナイス!!」と飛び上がる伊吹さんを見て思わず苦笑いしてしまいそうになる
そんな余裕ないはずなんだけど
志摩さんは床に這い蹲る犯人を拘束しようとして床に膝を着くけど、様子がおかしい
あ、またスタンガン
と思っているうちに犯人はまた逃げようとする
「Aちゃん!真木ちゃん頼むね!!」
伊吹さんの声にはい!と私の返事は多分聞こえてない。犯人と揉み合いになったかと思えば、ばしゃん、と大きい水音が聞こえて犯人がフレームアウトした
「え」
貯水槽か!
伊吹さん危ない!と声を出そうとしてそれより先に志摩さんが一歩踏み出し伊吹さんの手を握った
けどちょっと遅かった
もう一回り大きい水音が聞こえて2人もまとめていなくなった
「うそ、え、」
ちょっとまっててね、とカホリちゃんに声をかけフェンス下を覗き込む
こんな時にもかかわらず二人はずぶ濡れでやんややんやと小競り合いをしてる。その横で犯人が這い上がっていた
「あ、待て!」
私がそういえば2人も犯人の方を見た。それから犯人の手の中のスタンガンに慌て出す
まずい、と思ったがそこで陣馬さんが駆けつけてくれた
「何してんだお前ら!」
と響く怒号に一旦安心か、と私はほっと胸をなでおろした
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作者名:あぶく | 作成日時:2024年3月27日 7時