episode8 ページ8
その日は待ちに待った、と言えばちょっと不謹慎だけどあの虚偽通報が入って現場へと車を飛ばしていた
みんな散り散りになって追いかけたはいいものの、まさかの事件が起きる
「虚偽通報じゃ、ない？」
通報役の女の子が本当に不審者に遭遇してしまったのだ
慌てて自転車で道を引き返し電話ボックスに向かうも彼女の姿は無い。代わりに警察官とバシリカ高校のジャージ姿の人が何人かいただけだった
「志摩さん！伊吹さん！」
そう声をかければ2人は振り向いてわたしの名前を呼ぶ
「…遅かったですか」
「あぁ、今のところわいせつ犯が濃厚だな。最近ここらで多発しているらしい」
既に話が済んだのか高校生らは下皆を向いて俯いていた。わいせつ犯、という言葉に肩が揺れる。自分たちのせいで、そういう雰囲気が見て取れた
それから伊吹さんは彼らを少し見つめて「行ってくる！！」と走り出し生徒たちもそれについて行く
「待て、って言って聞くわけねぇか。一応Aは俺と一緒に動こう、九重はそのまま陣馬とだ」
志摩さんの指示と陣馬さんの合図にお互い頷きそれからまた散る
皆とは別の方向に向かって足を走らせて、カホリちゃんを探す。その途中前を走っている志摩さんが急に立ち止まった
「何だこの跡…」
そう呟いた声が聞こえて私も駆け寄る。そこにあったのはコンクリに残る黒いタイヤのような跡
「車輪…ですか」
「この近くを念入りに探そう」
そのまま車輪の後を追うようにして少し走る。とコンテナが沢山並んでいるのが見えてきた
「思ったより厄介になりそうですね」
「あぁ、そうだな」
隣に立つ志摩さんを見上げる。ふわりとやわらかそうな髪が揺れた
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作者名：あぶく | 作成日時：2024年3月27日 7時
