episode13 ページ13
目が覚めたら私の部屋にいた。官舎の自室なのは確か
まだ酔っているのかもしれない。昨日は調子に乗って飲みすぎたし
うん、きっとそうだ
だってじゃなきゃ隣に志摩さんがいるはずなんてない
「いくら休みといえ寝すぎたなぁ」
そう呟いてからぐぅと背伸びをして床から立ち上がり、それから水を飲むためコップを出す
その時同じく床で横になる志摩さんがんん、とくぐもった声で小さく唸り身じろいだ
私は思わず手の動きを止めて彼を凝視する
「あぁ、昨日は」
「え、うそ、志摩さん…ですか」
「は?待て、俺ごと忘れたとかそんな事あるのか」
「忘れるわけないじゃないですか!ただ、」
「いや俺は何もしてない!Aさんを送ってきて家の鍵開けて放り込んで帰ろうと思った!けとAさんが、離さなかったんだよ」
志摩さんがあまりにも必死に弁解をし始めるからなんだかおかしくて思わず笑ってしまって
「なんだよ、笑うなって」
「だって、そんな必死になるなんて面白くて」
「…それは手の早い男だと思われたくないからな」
「あ、でも待ってください。この場合迷惑かけたの私ですよね、ほんとすいません」
そう思い頭を下げれば彼は後ろ首を何度か叩いてから「伊吹には聞かれない限り言うなよ、絶対面倒臭いから」と眉間に薄く皺を寄せる
生憎今日も公休だし、ということでお昼も一緒に食べることになった。なんせもう時計の針は11時を指していた
「あ、お昼親子丼でいいですか?」
と聞けば彼は俺も手伝いますよ、と言って私の隣に立つ。仮にも貸家だからそんなに広くないキッチンでたまに肩が触れ合う
そんなに嫌じゃない
「いただきまーす」
2人で手を合わせて食べる親子丼はいつもよりずっと美味しかった
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作者名:あぶく | 作成日時:2024年3月27日 7時