episode12 ページ12
「おい、伊吹こんな飲ませといてどうするつもりだ」
「ん〜志摩ちゃんがお持ち帰り？」
「馬鹿なこと言うな、俺が桔梗隊長に処刑される」
男2人こそこそと話す下で志摩の苦悩なんて露知らずAはぐっすりと眠っていた
「にしてもAちゃんなんだか訳ありありって感じじゃない？」
「まぁ、そうだな。だがあんま無闇に踏み入ったら嫌われるぞ」
「うん俺もそう思った〜、でもさなんかたまに寂しそうな顔するよね」
寂しそうな顔、言い得て妙だがその言葉がやけにしっくり来た。あいつが一人でいる時外をじっと見つめてはどこか悲しげな顔をする
迷子の子供を送り届けたあともそうだった
誰かが話しかけるとその表情は一瞬で消える。貼り付けたような笑顔がどうしても引っかかる
「心から笑った顔とか見たことないって言うか、なんかちょっと壁がある感じ？」
「まあ同僚って間柄だからな」
「え〜俺は志摩の相棒だよ？志摩には〜もう隠すことなんてなーんも無いって思ってるけど」
にやりと笑う伊吹。お前は仕事してる時くらい多少そのふわついた気楽さをしまうことも大事だと思うがな
「でも、ほっとけないんだよな〜Aちゃんは」
伊吹が優しく笑って眠りこけるAの髪を優しく触れるように撫でる。環境の変化のせいかよほど疲れていたらしい。それでもなお起きる様子は無かった
男の俺の硬い太ももの上だと言うのに気持ちよさそうに寝ていること自体が先ず不思議だが
「野良猫と野生児2人同時に相手か」
「え、」
「桔梗隊長は俺を買いかぶりすぎだ」
「いーじゃん別に、Aちゃんと一緒に入れるんだよ〜俺は嬉しい！」
「大変なのは俺だけだからな」
楽しもうよ！！と伊吹のいつもに増してでかい声
理由なんてないが何とかなるのだろう、そんな気がしていた
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作者名：あぶく | 作成日時：2024年3月27日 7時
