episode11 ページ11
「んじゃ、お疲れ様＆Aちゃん4機捜にようこそ！ってことで、かんぱ〜い！」
どういうわけか私は今居酒屋にいます
隣はどういうわけか志摩さんです
「これから、よろしくお願いします」
と志摩さん。私もつられてもう一度小さく頭を下げる
伊吹さんにも同じようにした
「今夜は無礼講ってこてで！なんでも好きなもん食べて！」
いぇ〜い！と伊吹さんの声。志摩さんはもう諦めたとでも言うように「ま、そういうわけだ」と笑う
「え〜Aちゃんマジで可愛いきゅるんちゃんなのにおひとりなの？！」
「そうなんですよ〜人間慣れしなくて〜」
酔いが回っているのかもはや意味深すぎることを口走っていることにA本人が気付く気配は無い。人間慣れってなんだ、お前も人間だろと突っ込みたくなってやめた。無駄そうだ
へらへらとした伊吹を見つめる志摩に伊吹は「だ〜いじょぶだって」と笑う
そんなだらしのない顔で言われても信用ならないんだが
「あ、でもなんか4機捜は居心地良さそうで！」
「あ、ほんとー？いーじゃん！だって！しま！」
「は？なんで俺だよ」
「だって〜しまは〜」
とまで言いかけたところを志摩はすかさず塞ぐ。もごご！！と暴れる伊吹に「気の所為だ」と呟けばふーんと信じてなさげにしてから話題を逸らした
この気持ちの正体くらい分かっている。けどあまりにも知らなすぎた
アイツのことも
それに俺に人並みの幸せを手に入れる権利は無い
人を見捨てているんだから
今はともかく
この酔っ払い2人の方が心配だ
「え〜伊吹さんの方が可愛いですよ〜わんちゃんみたい」
「じゃあ俺Aちゃんのガードワンコになる〜！いっつもそばにいるね！」
「…」
「もちろん志摩も一緒だよ〜！」
「え！志摩さんも！？やったぁー」
一つ分かったことがある。Aは酒の周りが早い
それに二人まとめてアルコールが入ってるおかげでストッパーが間に合わない
俺一人でこれをどうにかしろと言うのか
無理だぞ
「あ〜志摩さん、膝貸してください」
「…は？ひざ？おい、何言って」
ぬるいおしぼりで手を拭いていたら隣のAがふにゃりとそう言う。まて、と止めるより先に膝の上にAが横になった
「しまさんのひざあったかい〜」
「は、はぁ？！おい、やめ」
俺の腹の方をみて、それから俺を見上げる
「おやすみなさぃ」
「はぁ？？！！！」
志摩の絶叫に近い声が飲み屋に響いた
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作者名：あぶく | 作成日時：2024年3月27日 7時
