＊Each of Days＊ (ページ29)

今日:10 hit、昨日:15 hit、合計:206,070 hit

お散歩３. ページ29

軽くステップを踏むように歩く智くんに見惚れながら

彼の後ろをゆっくりと歩き

近くのベンチにそっと腰を降ろす。

・

智くんは鼻歌を歌いながら綺麗な落ち葉と戯れるように

楽しそうにリズムを刻んで少しずつ踊りが形になっていく。

・

A「あ！この歌！」

・

そう言った私をチラッと見てふふ。と笑った智くんが

楽しそうに歌いながら綺麗に踊り始めた。

・

いつも私が好きだって言う智くんの歌。

「踊ってよ！」って言う私に「ヤだよ！」って

１度も踊ってくれた事なんてなかったのに…

・

あぁ。なんて綺麗に動くんだろう。

ステップの１つ１つが、軽く歌う歌声が

あまりにも綺麗で愛しくて、瞬きをするのも忘れ

ただただ智くんを見つめる事しか出来ない私に

・

智「惚れ直した？」

・

いつもみたいにふにゃんと笑った智くんが

息を切らす事もなくふふ。と笑いながら覗き込み

そのまま隣にストンと座った。

・

A「うん…惚れ直しまくり…。」

智「おっ。素直でいいねぇ。
散歩に連れ出してくれたお礼だよ。」

A「お礼だなんて。
いつも忙しい智くんに『のんびり』をプレゼントするんだったのに‥踊らせちゃったね？」

智「んーん。すげぇ気持ち良かった。」

・

そう言って私の膝を枕にしてべンチにゴロンと転がって

当たり前のように「取って？」って手を差し出した。

・

「ん。」って言ってスケッチブックと色鉛筆

読みかけの本を取り出して２人で静かに自然の中に溶け込んでいく。

・

本をパラリと捲る小さな音と智くんが滑らす色鉛筆の音

落ち葉が風と遊ぶ音に遠くに聞こえる鳥の鳴き声。

・

ふにゃんと柔らかく合った瞳に

・

A「お誕生日おめでとう。」

・

小さく笑ってそう言った。

・

Happy Birthday SATOSHI♪