＊Each of Days＊ (ページ14)

今日:19 hit、昨日:15 hit、合計:206,079 hit

スープ１.@潤くんページ14

すっかり街のイルミネーションがキラキラ輝き始めて

最近は夜空を見上げても星も月もあまり見えない。

・

はぁぁっと両手に息を吹きかけて

ビュゥッと吹いた冷たい風に思わず肩に力が入った。

・

BARでピアノを弾いて帰る頃にはもう

時計の針は１時近くを指していて

いつもウチに着く頃には１時を少し過ぎる頃。

・

「今日も潤帰ってないのかな…？」

・

BARでピアノを弾く日は潤の方が早く帰ってる時が多いんだけど

最近は凄く忙しいみたいで朝方にならないと帰って来ない。

・

「潤の作ったスープが飲みたいな‥」

・

タクシーの中からキラキラ流れる景色を見ながら

思わずヒトリゴトが零れた。

・

相変わらず家事がキライでほとんど料理をしないし

いつもいつも『そのまんまのAでいいよ』って言う

魔法みたいな潤の言葉に甘えてばっかりで

私……
潤にちゃんと何かを返せてるのかな？

・

・

タクシーを降りてマンションの前でふと夜空を見上げたら

ビルの隙間に綺麗な下弦の月が光ってた。

・

「月が笑ってる！」

・

すごく嬉しくなって携帯を取り出し写真を撮った。

・

エレベーターに乗りボタンを押してメールを打つ。

・

『月がニッコリしてるよ。』

・

潤も見れるといいな。

今どこにいるんだろう。

・

エレベーターを降りてウチまでのほんの少しの距離が

体を芯まで冷たくしたけれどそれでも心は暖かくて

・

玄関を開けた途端に目に入った

きちんと並べられた潤の靴とリビングの灯り

それに美味しそうなスープの匂いが

冷えた体をあっという間に幸せでいっぱいにした。