53.好き ページ9
翔ちゃんの 優しい声に心がキュッとなって 耳元はまた熱くなるけど
小さく小さく深呼吸をして
・
A「翔ちゃん？」
・
ゆっくりと彼の名前を呼んだ。
・
翔「うん。Aどうした？」
A「まだ 仕事中だよね？ ごめん。」
翔「ううん。空き時間だから 全然大丈夫。
何かあった？」
・
子供の頃と違って
丁寧に ゆっくり話す翔ちゃんが 好き。
私の知ってる翔ちゃんより 低い声で「A」って呼ぶ翔ちゃんが 好き。
子供の頃と変わらず 少し眉毛を下げて 困ったように
でも 凄く楽しそうに笑う翔ちゃんが 好き。
・
いつか ちゃんと 好き。を伝えたいな。
・
A「あのね？水曜日なんだけど。」
翔「うん。何かあった？」
A「ううん 違うの。
お土産 うちで一緒に食べてくよね？」
翔「Aがいいなら そうさせて貰おうかな。」
・
断られたら どうしようと思いながら ドキドキして話したけど
直ぐに返ってきた翔ちゃんの言葉に 心からホッとして
思わず息を止めてしまう。
・
翔「Aまた飲んでる(笑)？」
A「飲んでないし 泣き上戸じゃないから(笑)」
・
「うそだぁ！」って楽しそうに笑う 電話の向こうの翔ちゃん。
早く その笑った顔が見たいな。
・
A「ワインもね 買って来たの。」
翔「マジで？ でも飲んだらA泣くしな(笑)」
A「だから たまたまだから！
…待ってるね？」
翔「うん サンキュー。
出来ればこの位の時間に終わりたいんだけど
ちょっと分かんないから また電話するよ。」
・
優しい翔ちゃんの声が頭から離れなくて
その日のニュースは なんだか恥ずかしくて 最後まで見れなかった。
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作者名：もり＊えこる
作成日時：2015年11月19日 20時
