56.ケーキ ページ12
「翔さん…まだ決まんねーの？
オレ コイツとゆっくり出来んの久しぶりなんだけど。」
・
ケーキのショーケースを前に悩むオレに
ニノが呆れたように言う。
・
「カズっ！そんな事言わないの！
櫻井さん すみません。
今日あんまり残ってなくて…。」
ニノ「そんなに甘やかさなくったって いいんだって。」
「カズ！」
・
そう言いながらも 相変わらず甘い２人を横目に
散々悩んで決めたケーキを買って
ニヤニヤするニノと別れてタクシーに乗った。
・
時間は２０時過ぎ。
思ったより早めに終わって ケーキを買う余裕もあったけど。
「一緒に飲む。」って分かってるから ケーキを買う必要もなかったのかもしれないけど。
・
A…確かタルトが好きだったんだよな？
フルーツが好きで
「タルトだと いっぱい果物がのってるから好き。」
って 言ってたよな？
ん？じゃあ ケーキじゃなくて フルーツにすればよかったんじゃね？
いや お見舞いじゃないんだし…
・
「あの…？着きましたよ？」
・
すっかり１人で考え込んでたオレを
運転手さんが 少し困った顔をして見ていた。
・
翔「あ！すみません！」
・
慌てて タクシーを降りたけど 既にそこはAのマンションの下。
やばい。
まだ 連絡もしてないのに着いちゃったし。
なんかドキドキ(ちょっとだけね！)するし…。
・
１人でマンションの下で 大きく深呼吸をして
ほんのちょっと 上を見上げながらAに電話をした。
・
当たり前のコール音に 心臓がドキドキするって
オレ 今日大丈夫かな(笑)
・
「もしもし 翔ちゃん？」
・
静かに聞こえたAの声に
思わず 下を向いてしまう程
心が 震えた。
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作者名：もり＊えこる
作成日時：2015年11月19日 20時
