01.男装がバレた日 ページ1
Aside
平日昼下がりの空き教室、あの時は慌てていたこともあって油断していた。
授業開始までの残り時間を考えてこの教室付近にはだれも来ないだろうと考えていた。
まさか同じクラスのイデアに見られてしまうなんて…
イデアside
まさか彼…いや彼女がそんな秘密を抱えていたなんて…ましてやその秘密を守るために協力関係を持つことになるなんて思いもよらなかった。
———
もうすぐ始まる飛行術の授業のことを考えると憂鬱すぎて無理。
本当は今すぐにでも部屋に戻ってイベント回したいけどグッと我慢してグラウンドに向かおうとしてる拙者偉い。
更衣室を出ると、向かいの教室からガタッ バンとかなり大きな物音が聞こえた。
「ヒッ」
物音がしたのは拙者が入学してから一度も使われていないと聞いた空き教室のほうからだった。
え、怖。
物音を無視して歩きだそうとしたと同時にある可能性が脳裏をよぎる。
さっきの物音が誰かが気を失って倒れた音だとしたら…
最悪ﾀﾋなれでもされたら胸くそが悪すぎる。
何でもなかったらそれでいい。
教室に入る決意を固め、ゆっくりと扉を開き、足を踏み入れた。
入ってすぐに奥で倒れている人影が目に入る。
おそるおそる人影に近づき、声をかける。
「あのーダイジョブっすかー…まだ生きてますかー」
返事はなかったが、倒れていた人物が上半身を起こしたため、生存確認が取れた。
そして今、バッチリ目と目が合っている。
近づいてみて、まずこの人物が着替えの最中であったということがわかった。
下はジャージ、上はシャツがはだけている。
そしてもうひとつわかったことがある。
シャツの隙間からのぞく、女性物の下着と明らかな胸の膨らみ。
そこにいる人物が︎︎女であるという事実を物語っていた。
A・ブルーナ
ハーツラビュル寮所属 3年
学園では名の知られた人気の高い生徒
運動神経は悪くないが体力のステータスは低い
体力のなさをカバーできる頭脳をもつ優等生タイプ
バランスよく優秀な成績を残し、美人な上に性格もいい、人気が出るのは頷ける
ヴィラン揃いのこの環境では、まさに学園のアイドルのような存在だ。
そんな学園のアイドルが性別詐称をしていたなんて、知れ渡ったたらどうなってしまうんだろう。
むしろそれはそれで人気が出るかもしれないが…
予鈴の音が静寂の中で響きわたる。
拙者とんでもない秘密を知ってしまったのでは？
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作者名：more | 作成日時：2023年4月28日 5時
