【工藤新一夢】もう一度あなたに 2 (ページ6)

今日:55 hit、昨日:768 hit、合計:52,222 hit

第一部　自覚編ページ6

数日後――――

新聞にはデカデカと『高校生探偵またまた事件解決！！その名は工藤新一！』と大きく出ている。おそらく昨日あたり事件を解決したのだろう。
おじさんは新一くんが気に食わないらしい。読んでいた新聞をぐしゃぐしゃに丸めてお酒をグビグビ飲んでいる。蘭のところに同居してから1年ぐらいになるが、依頼人はほぼほぼ来ない。まあ、同じ探偵なのにあっちは警察から引っ張りだこだがこちらは閑古鳥……。荒れるなという方が無理だ。
朝から新聞を見てカッカしているおじさんを無視して、蘭と一緒に学校に向かう。

「「いってきまーす」」

蘭と昨日見たテレビの話題で盛り上がっていると、前には今や“時の人”になっている、新一くん。高笑いをしている姿にイラッとしたが、それは隣の蘭も同じだったようだ。持っていた空手着を新一くんの頭にぶつける。どーせ、テレビとか女子高生にかっこいいとか言われてちょーしのってるんだ。絶対。いいぞ！蘭！もっとやっちゃえ！少しすっきりした。

「ばっかみたい……。ヘラヘラしちゃってさ」
「なに怒ってんだよ……おまえら……」

新一くんは余計なことを言ってまた蘭を怒らせてしまい、拳が電柱にのめり込んでいる。
あれが警察の救世主ねー。しんっじられない。
コロコロとサッカーボールが新一くんの足元に転がってきた。それを新一くんは簡単にゴールに決める。

「もったいないなあ。新一、サッカーやめてなきゃ今じゃ国立のヒーローだったのに……Aだって……」
なぜか私まで責められる……
「サッカーは探偵に必要な運動神経をつけるためにやっていたんだよ……ホームズだって剣術やっていたしな」
「私は元々、剣道は中学までって決めていたし、剣道教室は今でもつづけているしね」

それにしても、新一くんはここでもホームズか。さっすがホームズオタク……
蘭は小説上の人物だと言うが新一くんはここぞとばかりにホームズオタク話になっている。

「ほんと、推理オタクなんだもん」
「でも、見ろよこのラブレター」

と新一くんは可愛い封筒をトランプのように広げてこちらに見せてくる。

むむむ。なーんかおもしろくない。

蘭がデレデレするのはいいけど、ちゃんと本命一本に絞りなさいよと忠告している。まったく。その通りだよ。
本命かーと新一くんが言った途端、視線を感じた。

「え？なに？なんかついてる？」
「べ、別に……」