16 ページ44
ガチャ――――
倉庫のカギが開いた。扉を開けると西本さんが首を吊っていた――――――
「きゃあああああ!」
思わず萩原さんにしがみついてしまった。駐在さんは腰を抜かして座り込んでいる。ユイさんはなぜか戻らない……。
萩原さんは西本さんを一瞥し、震えている私と腰を抜かしている駐在さんにテキパキと指示を出す。
「Aちゃん、ごめんね。怖いと思うけれど、じんぺーちゃんと班長に連絡してもらえる?」
「うん」
「ありがとう。おじーさん、ここの現場保存をお願いできますか」
「わ、わかった……」
「俺は緑川ちゃんの方に行くよ。Aちゃんの悲鳴を聞いてもこっちに来ないのはきっと向こう側でも何かあったんだと思うから……」
「うん。萩原さん……気をつけて……」
私は公民館からでてすぐのところで松田さんに電話する。数分で鑑識を引き連れた松田さんと伊達さんが公民館に着いた。松田さんたちを引き連れて公民館に戻るとユイさんに両手を後ろにまわされた状態で拘束されている平田さんがいた。
「あ゙?なんであんたがここに……。もしかして……」
「ち、違う!俺は殺してない!!!」
「松田、彼が今回の事件の犯人かはまだ不明だけど、傷害の容疑者だよ。ピアノの部屋で村沢さんが頭から血を流していた。」
「なんだと!?」
「今、萩原が彼をみている。脳震盪が起きてるみたいだから診察所に連れて行った方がいい」
「…………なんでコイツと村沢がピアノの部屋にいたのかはいったん置いておくか。後でたっぷりと嫌でも話してもらうがな」
「ヒイイ」
松田さんの悪そうな顔を見て、平田さんは悲鳴あげてる。分かる分かる。怖いよね。うんうんと頷く私の頭を軽く叩いて倉庫に入っていった。ユイさんも平田さんを伊達さんの部下に預けて倉庫の中に入る。鑑識さんたちはテキパキと作業を開始している。
西本さんの足元には譜面があり、ユイさんに解読してもらったところ――――
“遺書”
この遺書によると川島さん、黒岩さんを殺したことを悔いて自ら命をー。犯行の動機は昔自分たちが犯した過ちをバラされたくなかったため。自分たちとは、川島さん、黒岩さん、西本さんそして12年前亡くなった麻生さん…………他にもこの暗号を考えたのは麻生さんで、他の4人にも教えて何かのやりとりをしていた。末尾には第三楽章と共に命を断つと記載されていた。
289人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時