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麻生さんと、前村長の亀山さん、川島さん、黒岩村長、西本さんは幼なじみだったこと、麻生さんと西本さんは特に仲が良く麻生さんの海外公演について行ってたことや村沢さんについてまで
派出所に着いてカギを探すが物が散乱し過ぎて1時間近く3人がかりで探すが見つからない。
「ありゃーおかしいのー……確かこの辺に……」
引き出しをゴソゴソ探していた駐在さんが、
「おおー!あったあったこのカギじゃ!」
小さいカギを手にしている。やっとみつかった。
「はやく伊達さんのところに行きま――」
と、その時萩原さんが「遅いよー。緑川ちゃん、Aちゃん……」って言いながら入ってくる。
「みんな帰っちゃったんだ……楽譜は明日でってことで」
「帰しちゃったのか!?ハギ!」
「仕方なかったんだよ。みんな今日一日拘束されててイライラしてて……班長が『もう少し待ってくれないか』って言ったんだけれどこれ以上は不当な拘束だ!人権侵害だ!って大騒ぎしちゃってさ……」
「そんな……」
「陣平ちゃんはなーんか気になることがあるみたいで上の空みたいだし……」
ユイさんは納得できない様子だが、私はみんなの気持ちは分かる。
「ユイさん!さっきの譜面で“業火の怨念ここにはらせり”ってあったんだからもう事件終わったんじゃない?」
と楽観的なことを言ってみるがユイさんの顔色が晴れない。
「いや……そうはならないかもよ?Aちゃん。『月光』は第三楽章まであるんだ……もしかしたら……」
ユイさんは萩原さんに目を向けて、
「ハギ!駐在さんを背負いでくれ!公民館に向かう!」と叫ぶ。萩原さんは「え?いいけど……」って言いながら駐在さんを背中に乗せる。(いいんだ)とか(駐在さんも言われる通りにするんだ)とか思ったのは内緒。
公民館は真っ暗で静まりかえっていた。萩原さんは駐在さんをかついで走ってきたが、いっさい息を切らしてない。さっすが爆弾処理班!
ユイさんは、駐在さんを急かして倉庫を開けようとしている。そんな時――――
ガタッ――――――
ピアノが置いてある部屋で物音がした。ユイさんと萩原さんは目配せをして、
「ハギ」「分かってるって。Aちゃんとおじーちゃんは俺に任せて」
ユイさんはその言葉に頷き、足音を立てないようにそろそろと部屋に入っていく。
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時