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顔色が真っ青な萩原さんに静かに指摘されてすぐさま松田さんに引っ張られる。急いで松田さんと床な譜面を確認したが、変化は無い。よ、よ、よかった……。
「A、テメーは…………!!」
その後松田さんからコメカミを今までより強くグリグリされたのは言うまでもない――――――――
――――――――――
――side
「ったく、勘弁してほしーぜ。まったく……」
松田は天パをかき乱しながらぼやく。彼の様子を見て苦笑していた伊達が、
「まあ、嬢ちゃんの気持ちも汲んでやれや」
「あん?あのバカの?」
「緑川から聞いたんだが、おまえら毛利探偵に届いた殺人予告の手紙でこの島に来たんだろ?まあ、最初は殺人予告とは知らずに来たんだってきいたが――――」
伊達は廊下に涙を溜めながら萩原と緑川に慰められているAに目をやる。
「嬢ちゃんは嬢ちゃんなりに責任感じてんだろう……」
「せきにんだあ?」
思っても無い言葉が出たのか松田は困惑している。
「嬢ちゃんのせいで事件が起きた訳では無いが、おまえらをこの事件に巻き込んだ責任は感じているんだよ」
「……ガキがいっちょ前に……」
松田も廊下に目を向ける。萩原に何か言われたのかケラケラ笑っている。さっきまで半べそかいていたのに……
「班長……。ぜってー解決しようぜ。
「ああ。もちろんだ」
「仲良いのね。あなたと松田刑事」
松田さんから特大グリグリ攻撃を受けて絶賛反省中の私に成実先生はクスクス笑ってる。
「そーですかね?結構いじわるばっかりされてるし……」
「それだけ貴女に心を許してるのよ。本当の兄妹みたいにね……羨ましい……」
「?」
成実先生の最後の言葉はうまく聞き取れなかったが、その時の初めてみる彼女のどこか寂しさを秘めた顔は懐かしさを感じた。
鑑識作業が一通り終了し、伊達さんは関係者を廊下に集めて話し出す。
前回の川島さん事件、今回の黒岩村長事件、両方ともベートーヴェンの『月光』が流れており、犯人は同一犯であること。黒岩村長の死亡時刻とテープ頭の空白が5分30秒あることから、黒岩村長は発見される前の6時30分頃になること。上記から犯人はこの中にいると判断されること、つまり容疑者は、
第一発見者の西本さん、検死してくれた成実先生、村長秘書の平田さん、村長の娘の令子さん、その婚約者の村沢さん、村長選に立候補している清水さんの6人になる。
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時