9 ページ37
萩原さんは成実先生について根掘り葉掘り聞いてるが、2年前になにか引っかかるのか、今度はユイさんが駐在さんに質問する。
「2年前って前村長のことですよね。たしか……」
「そうじゃ。成実先生いわく、心臓発作らしいの。もともと心臓が弱かったらしいから仕方がないんじゃ」
「なにか変わったこととか無いんですか?」
「変わったことかのぅ。そういえば窓がひらいておったと言ってたのぅ。」
「なあじいさん、その窓ってどれだ?」
松田さんも気になるのか駐在さんに聞く。私も窓が気になって見に行く。
「おお。いま嬢ちゃんが立っているところの窓じゃよ」
「え?ここの窓ですか?」
私が指をさすと突然、窓の向こうに人影が見えた――
「え?」「は?」「な!?」
松田さんたちが一斉に叫ぶ様子にびっくりして窓をみると、暗闇に浮かぶ人影に思わず――――
「きゃああああ」
悲鳴をあげて腰が抜けてしまった。私の悲鳴に驚いた人影は一目散に逃げる。「おい」「まて」と松田さん、萩原さんは人影を追いかけて窓を開けて飛び出す。しかしものの数分で戻ってきた。見失ったらしい。不審者も出てきたので戸締りを厳重にして寝ずの番をする話になった。よーし!頑張るぞ!
―――
――――――
――――――――――
――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
「……ちゃん、……Aちゃん、Aちゃん?」
誰かに呼びかけられて目を開ける。あれ?ここ……
頭をガバッと起こすと警察官の人たちがせわしく動いているが、萩原さんと松田さんはいない。
ふわああとあくびをしながら状況を整理すると、どうやらユイさんの膝を枕にしてグーグーと眠りこけていたらしい。
「おはようございます。ユイさん。膝、大丈夫です?」
「あはは。これでも鍛えているからね、大丈夫だよ」
「お。嬢ちゃん、起きたのか」
その声に振り返るとつまようじを咥えた伊達さんがいた。目が瞬時に覚める。
「伊達さん!?え?なんで伊達さん?目暮警部じゃないの?」
「なんでってなあ。目暮警部が元々来る予定だったんだが、警部が担当している事件が進展あったとかで俺たちに回ってきた訳」
ユイさんが立ち上がるのに手を貸しながら伊達さんが答えた。
「あと、松田と萩原は休日返上で村役場で事情聴取している。事件のあらましや譜面などはすべてあいつらと
288人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時