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ユイさんは手紙に書かれている殺人予告のこと、殺人がまだ終わってないことを話す。
「ゆ、ユイさん!私別に心配なんてしてないですから!まったく違いますから!」
ブンブン顔を横に振って違いますアピールするがやつらは私の話を聞いてない。
「へえ」とか「ふーん」とか言いながらニヤニヤしている。ふーんだ。知らないもん。
とりあえず私とユイさんも公民館に居てもいいことになった。松田さんが折れたらしい。
「萩原さん、駐在さんはどうしたの?」
私は部屋に入ってから気になっていたことを聞く。
「ああ。おじーさんは夜食を持ってくるっていって出かけちゃったんだ。まだ帰ってこないよ〜」
萩原さんは川島さんにシーツをかけている。ピアノの横に譜面が書かれているものが置いてある。
「それ、なに?」
「ああ。川島さんの検死とか現場検証とかしている時にみつけたんだよ」
へーと譜面を見るがなんの曲が書いてあるのかまったく分からない。蘭ならきっとすぐ分かるんだろうな。
「あれ?これ、『月光』の譜面じゃないか?」
ユイさんは譜面をみるとすぐにこたえる。
「「『月光』の譜面?」」
松田さん、萩原さんも譜面を確認している。
「あれ?でもこの譜面変だな。4段目がおかしい……。これじゃ音が外れるよ」
「音が外れる?」
「うん。途中までは確かに月光の曲になるんだけど……。ここは……」
ユイさんは考え込んでいる。あっまさか……
「それって、もしかして……ダイイングメッセージ……とか?」
ギィィィ――――
入り口から不気味な音を立てた。みんなでバッと後ろを向くと
「おお。お待たせしたの。夜食を持ってきたぞ」
駐在さんは沢山のおにぎりがのった大皿を持っていた。
炊きたての白米の匂いでお腹がグゥーと鳴る。
今までの非日常から急に日常に戻った感じがしてありがたく頂いた。
場所を移る訳にもいかず、みんなで円になっておにぎりを頂く。どうやら駐在さんは旅館に連絡してくれたようでおにぎりの他にも卵焼きやウインナー、お茶や毛布まで用意してくれた。いたせりつくせりでありがたいです。
おにぎりなどでお腹が満たされてお茶で一息。
萩原さんとユイさんは駐在さんから島民の話を聞いている。
「成実先生ってこの島の人じゃないんですか!?」
「おお。成実先生は週末東京に戻っているようじゃ。まあ、成実先生には2年前にも検死で世話になったからの」
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時