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その後法事に参加していた人たちも続々と部屋の中に入る。松田さんと萩原さんは、テキパキと川島さんを調べていたが、
「ちっ、ダメだ。亡くなってる……」
松田さんは悔しそうな顔で川島さんの様子をみている。
「ごめん、成実先生!検死、お願いできる?」
「A。オメーは駐在所に連絡しろ!他の方はその場から動かないよーに」
萩原さんは成実先生に、松田さんは私に指示をするが体が動かない。
そんな私を不審に思ったユイさんが体を揺らす。
「Aちゃん……?Aちゃん、大丈夫?」
「ぁ……ユイさん…………」
「松田がAちゃんに駐在員を呼んで欲しいって言ってたよ。大丈夫?」
「うん……大丈夫。ごめん、松田さん!私行ってくる!」
私は急いで玄関に向かい、駐在所を目指した。
胸に嫌な予感を抱えたまま――――
駐在所に行ったが駐在員が見つからず、四方八方さ迷いようやく駐在さんを見つけて急いで公民館に戻ったら検死も終わり、事情聴取は明日夜が明けてからという話になっていた。全速力で戻ってきたのに。
検死の結果などが気になり、どうなったのか松田さんに聞こうとしたが、
「Aは旅館に帰れ」
「えっ。松田さんたちは?」
「オレとハギはここに残る。仏さんをこのままにしなきゃなんねぇし、現場保存もしなきゃなんねーしな」
「私も……」
「ダメだ」
残りたいと伝える前に拒否される。その言い方が今までに無い拒絶を感じてビックリした。これまでだって事件に何度か立ち会ったことがあるのを松田さんだって知っているはず。それなのに……なんで?
松田さんは頭をガシガシかいて私をシッシッと外に追い出す。萩原さんはそんな松田さんの様子に苦笑しているが何も言わずに静観している。
むむむ。ムッッカツク!!
松田さんの態度にカチンときた私は、何も言わずユイさんの手を引いて一緒に旅館に向かう。
「松田さんってば、酷いと思いません?いっつも私を子供扱いするんですよ……」
松田さんに言えない文句をユイさんに聞いてもらう。ユイさんはうんうん。と私の話をちゃんと聞いてくれる……。だから色々話せるんだよね。
「まあ、松田もAちゃんのこと心配しているんだよ。君は色々と首を突っ込むからね」
「私、そんなに首突っ込んでませんよ!新一くんじゃあるまいし…………」
「Aちゃん?」
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時