4 ページ32
公民館前にはプラカードを持った漁民数人がデモをしている。『農場を返せ!』『現村長の横暴を許すな!!』
村長選挙も色々あるんだと苦笑いしていたら…………
「あれ?Aちゃん?」
低くて優しい声が聞こえてバッとそちらを見ると、緑川さんがいた。
「ユイさん!?え?どうしてここに……?」
「ちょっと取材でね。Aちゃんは?」
「私はおじさんの依頼で……」
ここでようやく松田さんたちを思い出して紹介しようとするが、松田さん、萩原さんはポカンと驚いた顔している。特に松田さん、タバコに火がついたままだよ?危ないよ?
「お、おまっ……もろふ「はじめまして。
松田さんが何かを言いかけてたが、ユイさんはずいっと松田さんたちに名刺を差し出す。松田さんはいまだに固まっているが、萩原さんは爆笑しながら、
「なるほどねぇ〜。了解。了解。オレは萩原研二、こっちは松田陣平。
松田さんの肩に手を置きて体を預けながらもう片方の手でヒラヒラ手を振る。
「こちらこそ。よろしくお願いしますね」
萩原さんも緑川さんもニコニコしていたがなんか変な空気だが、それも一瞬。クスクスと笑い出し、松田さんも含めて3人はまるで久しぶりに会った友だちのような雰囲気になっている。
この人たち前から知り合いだった??
頭に??がついている私をそのままに、萩原さん、緑川さん、松田さんの3人で仲良く公民館に入って行く。
もう!私をのけ者にするなんて!
公民館に着いたが、現村長の秘書である平田さんに村長に取り次いでもらうよう依頼するが、5分ぐらい待ってるが返事がない。
「ったく、いつまで待たせる気だぁ?」
「まあまあ、陣平ちゃん……。落ちついて」
松田さんはイライラしてるが萩原さんは気にしてない。私も手持ち無沙汰になり、ふと廊下の1番奥の部屋をすりガラス越しに覗いてみると――
「Aちゃん?」
私の様子に気づいて近づいてきたユイさんと一緒に部屋に入る。ユイさんは部屋に置いてあるものにユイさんと気づく。
「ピアノだね……」
部屋はガランとしていてピアノだけが部屋の隅に置かれている。遅れて松田さんと萩原さんも部屋に入る。
「あん?公民館の裏は海じゃねーか」
「それにしても立派なピアノだね〜。あれま?よくみるとホコリだらけだよ……掃除しないのかね……」
288人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時