3 ページ31
「亡くなった人からの手紙だったなんて……タチの悪いイタズラだったのかな」
ポケットにしまっていた手紙を引っ張り出す。
「いや?そうともかぎらないかもよ?」
黙って考えこんでいた萩原さんが説明する。
「だって、50万は毛利探偵に振り込まれていたんでしょ?その消印だってここ、月影島だったわけじゃん?なんで10年以上前に亡くなった人の名前を使っているのかは分かんないけどさ、もしかしたら誰かがなにかをたくらんでるかもよ?」
とウインクしている萩原さん。
「とりあえず、麻生圭二の友人といってた村長に会いに行くか。話はそれからでも遅くねえ」
いつの間にかタバコを吸っている松田さん。
ありがとう。松田さん。萩原さん。
本当は1人で捜査するのがちょっと不安だった。でも――私には頼りになる警察官がいるんだもん!えへへ。
公民館へ向かうため、地図で位置を確認していたら
「いーい!ケン太くん。暖かくして寝るのよ!」
若い女性の声。みると“月影診療所”と書かれた看板前に白衣の女性とコナンくんぐらいの男の子……。
「すみませーん!そこのキレイなおじょーさん!」
萩原さんはさっきまでの真面目な顔からチャラい顔に変わる。まったくもう!さっきまでかっこよかったのに!台無しだよ。
彼女は浅井成実さん。しかも看護師ではなくお医者さんらしい。萩原さんはすぐに成実さんの情報を手に入れる。
「もしかしてあなたたち本土から来たの?」
「そーなんですよ!いやあ。ここはいいですね!空気は澄んでて、静かで――――」
萩原さんは成実さんに島の良さを話していたが
『島の漁場を守るために、この清水正人に……清き一票を!』
選挙のミニバンが拡声器をつけて大声が響く。成実さんは今は村長選挙が近いため、どうしても騒がしくなっちゃうんです。と苦笑い。
「候補者は3人なんですよ!今通った漁民代表の清水正人さん、最近評判下げている現村長の黒岩辰次さん、島1番の資産家の川島英夫さん……ウチの患者さんたちの話だとどうやら川島さんに決まりそうで……」
村長選挙は今、島のホットな話題なのか浅井先生は止まらない。あはは……と苦笑している私たちの様子に気づき、ンンと咳払いして
「でも、公民館行くなら今言った人たちに会えるわね。今夜前の村長、亀山勇さんの3回忌なんですもの」
「前の村長の3回忌…………?」
288人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時