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近ごろ、事件に遭遇するのが
「んで?俺らに秘密にしていたのはなんでだ?」
松田さんの薄ら笑いに背中がゾクゾクする……
てへ。とかわいく笑って誤魔化し……できず、松田さんからこめかみを両側からグリグリされる。いたいいたい!
萩原さんからそろそろやめてあげなよ陣平ちゃんの声が発せられるまでされるがまま――――――
月影島村役場――――
島についてまずは麻生圭二について尋ねるには村役場がいいだろうとなり、松田さん、萩原さんを引き連れて村役場に向かったのだが、
「麻生圭二?いませんねー。この島にそのよう人は……」
窓口の男性に話を聞いてみるが知らないとのこと。
「ええ!?」
「ありゃりゃ。こりゃまいっちゃうね」
「はあ!?んなことねえ!実際、こんな手紙がコイツんところに届いてんだよ!」
「しかし、この島の住民名簿に載ってませんし、それに私は先月この島に来たばかりで詳しくは……」
そんなやりとりをしていたら、奥から年配のおじさんが声をかけてきた。
「おい、どーした?」
「いえね、この人たちがこの島にいる住人から依頼を受けたとかで……」
「依頼?」
「麻生圭二さんって人らしいんですが……」
「あ、麻生圭二だとぉー!?!?」
その瞬間、和やかだった役場内の空気が一瞬で凍りついた。先ほどまで和やかに語らっていた人たちが恐怖の顔になり、ヒソヒソと小声で語り合う。異様な雰囲気に驚いている私たちに年配のおじさんは絞り出すように、
「そんなはずありませんよ……だって彼は10年以上前に亡くなっているんですから…………」
年配のおじさんから聞いたところ、
麻生圭二さんは月影島出身の有名なピアニストだったらしい。島に帰ってきた彼はその夜、村の公民館で演奏会をやった後、突然家族を連れて家に閉じこもり、火を放った。彼らを助けに行った人から聞いたらしいが、燃え盛る炎の中で彼はベートーヴェンのピアノソナタ『月光』を弾いていた…………
年配のおじさんから麻生圭二について聞いた私たちは、お礼を言って役場を後にする。
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時