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トロピカルランド――
初めての場所にワクワクが止まらない。あっちもこっちも行きたくてウズウズする。
「新一くん！新一くん！どれから乗る？ジェットコースター？あー！あのお城も行きたい。観覧車もある！あっ！あっちはなにかな……」
「A。おめぇ。はしゃぎすぎ」
新一くんにたしなめられてしまう。てへへ。下見のこと忘れてた……反省…………
ミステリーコースターで待っている間、新一くんはあいかわらずホームズ話をする。こいつ……
「新一くん！私にはホームズ話をしてもいいけれど、蘭には抑えるんだよ！蘭の話をちゃんと聞くこと！」
「わーってる」
ほんとうかあ？疑わしい目をむけるが、新一くんはまったく気にしていない。
そんなやりとりしながら色々なアトラクションを楽しんでいるとあっという間に1日がすぎる。
夕方、新一くんと観覧車に乗る。夕暮れに照らされている景色がとても綺麗だった。
「新一くん。今日、誘ってくれてありがとう。すっごく楽しかった」
最初はデートの下見だったけど最後の方では普通に私も楽しんでしまった。本当楽しかったと口元がほころぶ。
帰り道。遅くなるからと律儀に新一くんは家まで送ってくれる。これは高ポイントだぞと本人にも伝える。
「ここまででいいよ。今日はありがとう」
「ああ。そうだ。これ、やるよ」
新一くんから手渡されたのはシンプルなブレスレット。
昼間、新一くんがトイレに行っている間にみていたブレスレットだ。シンプルだけど、限定品でちょっと金額高めだったから諦めたあの……
「な、なんで……」
「シンプルだし、欲しそうにずっとみてただろ。今日の下見のお礼……」
新一くんの思いがけないプレゼントにびっくりしてしまったが、じわじわ嬉しさがこみあげる。
「ね！ね！今つけてもいい？」
新一くんの返事を聞かず、袋からだしてブレスレットをはめる。
「どお？似合う？」
「あー……。いいんじゃね」
ぶっきらぼうに言ってくるが顔が赤くみえるのは夕日があたってるから？
えへへ。まあいっか。
「じゃあね！新一くん。これ一生大事にする！！蘭の時もちゃんとエスコートするんだよ！じゃあーね！」
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作者名：久春 | 作成日時：2023年11月23日 12時
