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その夜――
おじさんは飲み屋、蘭はお風呂に入っている。私は1人になりたくて一階下の事務所にいた。電気もつけずただじっと暗闇の中で月あかりをみていたら――
「どうしたの?Aねえちゃん」
部屋のスイッチを入れてコナンくんが入ってきた。
「コナンくん……。ちょっと考え事していたの」
「そう……」
私はコナンくんに向き合う。
「ねえ、コナンくん……ちょっと私の推理をきいてくれない?」
私の突然の真剣な表情にコナンくんはオロオロしている。
「ねえあなた、新一くんでしょ?」
「な、なに言ってんの。Aねえちゃん。ボクはコナンだよ?新一にいちゃんじゃ……」
「まず最初におかしいって思ったのは阿笠博士とコナンくんが新一くんの家にいたこと」
私はコナンくんの話を無視して続ける。話の主導権はこちらが握る。私は一度小さく深呼吸をして、
「だっておかしいでしょ?博士の家は隣。どうして博士は新一くんの家にいたの?博士はコナンくんを遠い親戚って言ってたけど、なおさらおかしいじゃない。遠い親戚の子とどうして自分の家じゃなくて新一くんの家にいたのか……」
私が疑問に思っていたことをそのままコナンくんにぶつける。
「次におかしいなって感じたのは、誘拐事件の時。あなたは事件に少しも不安になってなかった。それよりも犬を連れて女の子の居場所をみつけてたよね。よく分かったよね。あそこの体育館倉庫に犯人がいたこと。普通の小学生じゃまずありえない」
「た、たまたまだよ……」
力なく返事をする彼をまっすぐ見る。ふふん。甘いわね。
「最後はね、今日の事件。なんで私が部屋に入ろうとした時止めたの?」
「そ、それは……Aねえちゃん、血だらけの遺体苦手でしょ?だからだよ」
「うん。血だらけの遺体は苦手。でもそれを知ってるのは新一くんだけなんだよ。なんでコナンくん知ってるの?」
ギクリとコナンくんの動きが止まる。私はここで一気に畳みかける。
「コナンくんが新一くんと考えると色々辻褄が合うの!事件現場の行動力も、推理力もあの私を呼び止めた口調もぜーんぶ新一くんだから!違う!?」
「ボ、ボク子どもだよ……?そんな訳……」
「黒づくめの人たち……」
またコナンくんの動きが止まる。顔面蒼白になってこちらをみる。当たった。やっぱり……
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時