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あの海外旅行事件以来、新一くんはちょくちょく事件現場に顔を出しては推理を披露している。それはまあいい。いや、本当はよくないと思うが、私が口出すことじゃないので静観している。
問題は事件現場に必ず私を連れて行くようになった。でも新一くんは現場につくと私を放って現場に夢中。新一くん越しに現場をみると血だらけの現場のため今日は規制線の外で新一くんの探偵ぶりを応援しようと決めたそんな時、
「あれ?Aちゃん」
「あ、ユイさん。こんにちは」
声をかけてきた人は最近知り合った緑川唯さん。ルポライターのお仕事をしているらしく色々な事件で顔を合わせるうちに話すようになった。それにユイさんはどこかで会ったような、なんとなく懐かしい感じ……。
「いつもいつも君は大変だね」
事件現場の状況や私が規制線の外にいる状況を把握してなるほどとすぐ納得してくれる。
「えへへ。新一くんの無茶振りに、もう慣れちゃいましたから。ユイさんは仕事ですか?」
「うん。取材を終えた帰り道でさ。人混みが見えたから何かと思って」
「なるほど……」
周りを見渡すと確かに野次馬がすごい。時々、『あれが噂の高校生探偵か』『結構カッコいいよね』の声がちらほらきこえる。そんな声が当人にも届いたのか軽く声がする方に会釈をしている。その姿を見て野次馬からきゃあきゃあ♡の声。
む。
口をキュッと固く閉じて頬をぷくっと膨らませる。あんの
そんな私の様子にユイさんはくすくす笑って頭を撫でる。伊達さんといい、ユイさんといい私の頭撫でやすいのかな。
「俺、そろそろ行かなきゃ。Aちゃん、あんまり事件に首つっこむなよ」
「わたし、首なんかつっこんで――」
ハハハ。それじゃ。と爽やかにその場を去るユイさんに向かって言うが聞いてない……。私、新一くんに連れてこられただけなのに……トホホ……。
「わりぃわりぃ。A。待たせちまった」
「いいよーだ。新一くんが私なんか放っておいて事件、事件はいつもだし、女の子にはかっこつけちゃってるけど……ちゃんと解決したんでしょ?」
「まあなって別にかっこつけては……」
「じゃあ帰ろうよ。久しぶりに今日は私が新一くんに料理作ってあげる日なんだから」
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時