宮治と赤い糸で結ばれています

＊ ページ8

治side



「(あ、また小指触っとる)」


問1が解き終わり、答えが合ってるかどうか確認しようとAちゃんの方を向くと、Aちゃんは自分の手のひらをじっと見つめていた。



きっと癖なんだろう。

Aちゃんが左手を気にしているのに気がついたの転校して初日のとき。




転校して初日、Aちゃんは俺のことを見るなり「え゛！！？！」って叫んだのだ。俺のことというよりは俺の"手"だったけど。


叫んだあとは自分の手と俺の手を交互に見て絶句。



「…えーと、Aちゃんやったよな？どないした？俺の手なんかついとるか？」


気になり自分の手を確認してみるも何も特に変わったところは見当たらない。




そして、「え、あ、や、何でもないですごめんなさいそれじゃ！」と左手を抑えながら早口で逃げていってしまった。


今だに何に驚かれたかはわからないまま。









Aちゃんの前に左手をパッと開く。

「なんか気になることでもあるんか？」


あんな驚くほどの何かがこの手にあるんだろうか。






「あ、いや、ほんと何でもないの気にしないで！て、てか治くん手おっきいね！この手って男子の中でもおっきい方？」


「あたしとこんなに違う」と言いながらそのまま俺の左手に彼女の小さい右手が添えられる。


「…」


「あたしの手、治くんの第2関節のどこらへんまでしかないや」と言い、手はすぐに離された。




「ほら、早く問2やりな時間なくなっちゃうよ」



彼女がなにかを誤魔化しているのは明らかだが、あんまりしつこく聞いても仕方ないし、また次の機会にしよう、





それにしても、

「(ちっさい手やったな)」









「t=5で合っとる？」

「今度求めるのvだよ」

「んがああ」

「問題ちゃんと読もうね」

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