【DB/ゴクウブラック】取り憑かれた正義Part1

真心 ページ48

〜ゴクウブラックside〜


急にノックをされたものだから驚いた。

なにか物音がしてたのは気づいていたが…



Aからこちらへ赴くとは、珍しいことも起きるものだな…


無様な姿をさらけ出す

神としてこんなに恥ずかしいことはない



しかし…



それ以上にAが、自らの意思で茶を入れてくれたという事実に驚きを隠せない



あんなことがあったにもかかわらず…



とりあえず、席には着いてみた


…なるほど、紅茶の知識はほぼないといったものか
お茶を目の前に差し出す手がぎこちなく震えている



A「…すみませんっ、慣れてないもので…」



『有難く頂こう』




……それは正直



雑味でしかなかった。



熱すぎるお湯で注がれたであろう茶葉たち、使う器も、水も、それぞれにかけた時間なども、

とことん狂ったものばかり。



しかしなんと言うだろう、これはただただ純粋な雑味だった。



だからこそ
よりいっそう引き立った、

真心という名の、隠し味。




……あの時を一瞬思い出した




私が初めて、界王神見習いとして茶を入れた時のことを。


こんな粗末なものを、ゴワス様に頂いてもらうわけにはいかない


そう何度も心の中で葛藤していたにも関わらず、突然いれてしまった


それはゴワス様のお元気がなかった時だった。


何とかして差し上げたい
その一心で

いれてしまった。



でも我に返って急ブレーキがかかったけどもう遅かった。
ゴワス様はそれを飲みたいというのだ。


あの時もこんな感じに、
紅茶をいれるのが初めてな自分がオドオドしてるにもかかわらず


ゴワス様はただただ静かに、過ごしていた



そして
それを口にした瞬間の

その時の言葉は……



『フフ……この味からして先が思いやられるが…、これはこれで美味。これがお前にとっての最初で最後の味。お茶をいれてくれてありがとう。』



A「っ……、む、無知ですみませんっ…！」




わかる。
そう、小馬鹿にされた感、満載の言葉。

Aから溢れる、隠しきれないふくれっ面。



なるほど、
こういうことなんですね、……ゴワス様。




……美味しい。





俺は、胸の中にある何かがスっと軽くなった

ふと目が合っては、お互いに笑みがこぼれる。




……


そして、滑り落ちたこの言葉

『……独りというのは、とても耐えられるものでは無いな…。』

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