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『そんなことよりなんできたの。』
rd「そんなことじゃないよ。そんな薄着じゃ風邪引いちゃう。それにAが寒がってるのを「寒いの」だけじゃ済ませないだろ。」
そう言って、少し胸を張っている。それが少し子供っぽく見えてしまう。本人に言ったら間違いなく怒られちゃうね。
『大丈夫、私そんなヤワな人じゃない。』
rd「ほんとか〜?また一人で何かでっかいの抱え込んでるでしょ〜?俺の前で嘘は通用しませんよー。」
『…ほんとに大丈夫だから。あとさっきから聞いてる。なんできたの。』
少し強い口調でそう言う。
やっぱりらだくんには全て筒抜けだ。予想こそしていたけど、ここまで来ると少し怖い。少し強い口調で言ったのには、多分その筒抜けという事実を隠したいという私の謎のプライドが働いだんだろう。ほんとにいらないプライドだ。
rd「ただ起きたら、Aがいなかったから探して見つけただけ。」
そう当たり前かのような顔をして言うらだくんが嘘をついてるかどうかは私には分からない。嘘でも、ほんとでも私のことを探してくれたんだと思うとかなり嬉しい。でも私の顔が笑みを零すことはなかった。
rd「…。」
『…。』
しばらく間、沈黙が続く。少し気まずくも感じるけど、でも少し居心地がいいとも思う。やっぱりそういうものなのかと少し思ってしまうけど、そんなにぬるいもんじゃないかと正気に戻る。
この四年で、らだくんから「好き」と言われる回数が減った。もちろん「大好き」と「愛してる」もだ。言わずもがなって感じ。だから正直もう彼は、私に対してそんな感情を持ち合わせていないんじゃないかと最近考えるようになった。私はまだ好きなんだけども。
少なくとも、高校生カップルのほとんどが失敗してるってよく聞くけど、高校生カップルでさえ失敗するのなら、私ももう飽きられちゃったかな。そう考えると辛くなる。それもあってか少しここに居ずらくなってしまう。
そう思っていると、
rd「ねぇ…?A?」
そう急に声をかけられる。
その声はとても優しくて、少し悲しささえ感じてしまう。
『なに…?』
そう少し悲しみと甘さを混ぜ合わせたような声で答える。
この甘さはただの足掻きのようなものだ。まだ嫌わないで欲しい。そう言うただの物乞いのようなもの。でも私の声を聞いて安心したような顔をして、
rd「…月が、綺麗ですね…。」
そう言って、顔を逸らした。
…私が心配しなくても、彼だけは私の元を離れないでいてくれる。
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リア充暗殺隊隊長のミドロ - らだーお…月が綺麗ですねで耳真っ赤とか初心だねぇ…そうだね、昔は男の子も女の子も大差なかったのに歳を重ねていくと心身ともに成長してって青春になるんだなぁ…(?)更新頑張ってくだせぇ…_(:3」∠)_ (3月25日 1時) (レス) id: c6ae5f89f4 (このIDを非表示/違反報告)
楓生(プロフ) - 楓生さんFC会長のミドロさん» ほんとにありがとうございます!!更新頑張ります!! (1月27日 8時) (レス) id: 17fdfdd6c0 (このIDを非表示/違反報告)
楓生(プロフ) - 楓生さんFC会長のミドロさん» めちゃくそお久しぶりです!!最近少しモチベ落ちてましたがやる気出てきました!!めっちゃ書いて更新したるでぇ!! (1月27日 8時) (レス) id: 17fdfdd6c0 (このIDを非表示/違反報告)
楓生さんFC会長のミドロ - 更新頑張ってください…!僕、心から応援しています! (1月26日 0時) (レス) id: c6ae5f89f4 (このIDを非表示/違反報告)
楓生さんFC会長のミドロ - らだおったら、レディに羽織をかけてあげるなんて優しいじゃん…。夢主ちゃん…そんな闇深いことを思っていたのね…俺まで心が「きゅっ」ってなるよ…。やっぱ楓生さんの小説は次の展開が読めなくていいんですよね、だから夢中になってどんどん読んじゃいます(笑) (1月26日 0時) (レス) @page17 id: c6ae5f89f4 (このIDを非表示/違反報告)
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