検索窓
今日:10 hit、昨日:30 hit、合計:47,896 hit

9 (桃s / 紫)回想 ページ9

桃side

*回想*


**


すんごいミスしてもうた
上司にも先輩にも迷惑かけて
もう会社辞めよかな…

まだ新卒の試用期間中や、たいした痛手にもならへんやろ…


「小瀧、これ、おまえが直接経理に頼んでこいよ。
締め切りはとっくに過ぎてるんだからな」


わかってるよ
一度処理済み決済の訂正やから、面倒な作業を終業時刻を当に過ぎた今からお願いするんや

気が重いな…

経理ってなんか冷たいイメージ。
痩せギスの眼鏡かけたおばちゃんが、一日中そろばん弾いてるやな(ど偏見!)

そんなん嫌いやわ…


経理課のフロアに着いたら一ヶ所だけスポットで灯りがついてる。


残業時間中であれ煌々と灯りを点けてるのと真逆な世界。

「ワシらは遅くまで働いてんのに事務方はさっさと帰っていいご身分や」

そんな陰口たたく上司や先輩たちの言うことも、まんざら間違ってないんかな…


あの人やな。

ふんわりした丸みのある後頭部。襟足は綺麗に刈り上げてあり、細身の白シャツにはピシッとアイロンが当たった几帳面そうな後ろ姿。
ガリ勉タイプの牛乳瓶の底眼鏡野郎だと勝手に予想したんやけど…


「ふわぁーーん!まだかいな、お腹減ったわ…」


びよーんと椅子の背もたれしならせて、両手を大きく広げて伸びをしとる。

独り言、デカない?

よく通る低い大人な声。
可愛らしさのある発言は不思議ちゃんをみたいで
怖くはなさそうと判断した俺は、


「すみません…」


声をかけてみた。


くるっと椅子を回転させて俺を見上げるや否や、


「待っとったよ、小瀧くん。早よ見せてみ?」

にっこり笑って手のひらを俺に向けてきた。


「これです。申し訳ありません、宜しくお願いします!」


"至急"スタンプのついた事業部長決済の書類を手渡す。


「ふんふん…」


細く長い綺麗な指で書類を辿りパッと俺を見上げた。


「大丈夫、こんなん朝飯前や
ん?朝飯はとっくに過ぎたから、夕飯前やで」


思った以上の優しいリアクションに固まってまう俺。


「めちゃくちゃ脅されたんやって?可哀想になぁ…
新入社員やもん、最初から完璧にできる子なんておらんよ」


「ほんまですか?今世紀最大のミスやって、ワシなら辞表用意するわなって、」


「あなたが承認しはったんちゃうん?
こんなんスルーした上司の責任やで」


頭をポンポンと撫でられて


「仕事、嫌いにならんでな?
頑張って仕事覚えて見返したり?」


上目遣いで言われた瞬間、俺は濱ちゃん信者になったんやった…

10 (紫s / 黄)回想→←8 (紫s / 橙、桃)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
204人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

こー(プロフ) - Shandyさん» 返信ありがとうございます!迷惑でなくて良かったです。Shandyさんのペースでいいので、更新楽しみにしています。わ……ありがとうございます!まさかそんな嬉しい言葉を言っていただけるなんて……!!ありがとうございます!私も更新頑張らなければ……笑 (2022年3月29日 23時) (レス) id: 88264f67b7 (このIDを非表示/違反報告)
Shandy(プロフ) - こーさん» 不快だなんてそんな、、、むしろコメントいただけて久しぶりに書きたい欲が湧きましたので感謝です♪こーさんのお話の世界観私も大好きです(^^) (2022年3月29日 22時) (レス) id: 18b5a9219f (このIDを非表示/違反報告)
Shandy(プロフ) - こーさん» 初めまして♪コメありがとうございます!青紫お好きなんですね。片隅に放置していた話を見つけてくださり設定や世界観を好きとのお言葉とても嬉しいです。私も青紫大好きなのでなんとか続きを書きたいと思っています。もしパスをかける時はちゃんとヒントを添えますので (2022年3月29日 22時) (レス) id: 18b5a9219f (このIDを非表示/違反報告)
こー(プロフ) - 不快に思われたら無視してください。突然のコメントで失礼なのをわかった上でコメントしました。不快になられましたら本当にすみません。 (2022年3月28日 17時) (レス) id: 88264f67b7 (このIDを非表示/違反報告)
こー(プロフ) - 突然、大変失礼致します。初めまして。青紫が好きでこの作品に出会いました。このお話はパス掛けしないで頂きたいです。突然のコメントに要望、迷惑だと思います。本当に申し訳ありません。世界観や設定がとても好きで読めなくなるのは悲しいのでコメントしました。 (2022年3月28日 17時) (レス) id: 88264f67b7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Shandy | 作成日時:2020年11月23日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。