エゴイスト 4 ページ4
空が真紅に染まって行く夕方の帰り道。タエは幼馴染の
姿勢を低くした由紀子は呟く。
「おタエちゃん……さっきの、凄いな」
さっきのとは休憩時にやっていたあのぶりっ子のことだろう。
タエは由紀子に言われた事について、何も知らないと言ったエセ天然を真似る。
「え〜？そ〜かなぁ？」
「おタエちゃん……」
声を低くして由紀子が言う。
「ねえ＿＿＿＿おタエちゃん」
「んぅ？どうしたの〜由紀子〜」
幼馴染である由紀子に対しても変わらずのぶりっ子を続けているタエに、由紀子は苦虫を噛んだような顔をする。
重々しい空気の中、口を開いた。
「最近話題の通り魔……知ってる？うちらと同い年くらいの通り魔」
通り魔とは最近ニュースで引っ張りだこである『連続殺人犯』の事だ。
クラスでもその話は何度も先生にされていた。
「知ってるよぉ。タエ可愛いから、狙われるかもなぁ……って。タエの
タエは呑気に答える。
「そっか……」
「でもでもぉ。急にどぉしたの？」
タエが言うと、急に由紀子が立ち止まった。
由紀子が立ち止まったことにより、タエは首だけを動かし由紀子を見る。
「その通り魔ね」
嫌な予感がする。由紀子がスカートのポケットから何かを取り出す。
「＿＿＿＿ぅち……………なんだ」
「え？」
小さな折りたたみ式ナイフを首元に思いっきり刺されてしまう。
突然の鋭い痛みと、血に染まるタエの首。
体重は重力に従って行くように落ちている。
「ごめんね、ごめん。おタエちゃん。もううち、耐えられないの。アンタのぶりっ子には」
手を真っ赤に染めた由紀子が言う。幸い、人は通っていなかった。
どれだけ叫んでも、聞こえることはない。
「アンタが悪いんだ。アンタがうちの彼氏とるから」
そう言って、何度も何度も体を刺す由紀子。
もうタエの体は冷たい。
「うちは、悪くない……！！！」
その声すら、もうタエには聞こえていない。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←エゴイスト 3
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
