銀月の狼 【登坂広臣】

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『A、おいA』



『ん....?』



『どうしたんだよ、ぼーっとして』




ここは....私の庭?


夜だし、桜も咲いている


隣には男の人がいるけど、顔だけ靄がかかっていて誰だかわからないし


声もいろんな声が混ざってて判別できない



だけど....この安心感はなに?





『A....』



『えっ?』



『絶対に、約束守るからな』






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ケンチ｢A姫....目覚めましたか｣



A｢ケンチ先生...?｣





ここは、私の部屋....けど外は明るい


さっきのは夢、か





A｢あれ、なんで私部屋にいるの....｣



ケンチ｢覚えてないのですか｣



A｢.....あ。｣






そうだ、


私....能力が使えなくなってたんだ


それでそのまま意識を失ってしまって....






ケンチ｢.....いつからですか｣



A｢わかりません

気づいたのはさっきです｣



ケンチ｢そうですか｣






産まれてからずっと使ってきたこの能力


いざ使えなくなってみると少し寂しくもなる


だけど胸がスッとなっているのも事実



もしかして...ずっと感じていた違和感はこれだったの?







このまま力が消えていくのかな


だけどそうしたら、ここに私の居場所は....





少し不安になってチラッとケンチ先生を見ると







A｢ケンチ先生....?｣







ケンチ先生は



赤くなった目に涙を溜め、私を見ていた






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