銀月の狼 【登坂広臣】

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｢なんかねー....昨日の今日だから起こせない｣


｢優しいじゃないですか｣





近くで聞き覚えのある声に意識が戻った私は


目を開ければもう外は明るく、


いつものように直人さんと北人くんがいた





直人｢あっ、起こしちゃった....?｣



北人｢姫様おはよう

また外で眠ってたけど、直人さん今日は怒らなかったよ｣



A｢うん....ありがと。おはよう｣



直人｢今日は怒れないけどさ、ほんとに何回も外で寝られたらいつか身体こわすよ?｣






私が落ち込んでいたのを知っているから


2人は気遣ってくれたんだろう


また外で寝てたか.....って、






A｢オミっ....オミはっ!?｣



直人｢オミって....?｣



北人｢そんな人いましたっけ?｣





え....






A｢なに、言ってるの

オミだよ...."銀月の狼"を討ち取るための

雇われ剣士.....｣



直人｢だってあれって昔話でしょ?

討伐の話なんてそもそもあったの?

俺知らなかったー｣



北人｢姫様から外部の人間の名前が出るなんて珍しいですね

そのオミって人がどうかしたんですか?｣






どういうこと....


この屋敷内で"銀月の狼"の話題が出たら


オミという存在は必要不可欠なはず


特にこの2人は情報仕入れは早い方なのに


オミを知らないなんて....


しかも、討伐の話がなかったことになってる






直人｢まぁよくわかんないけどさ、早く仲直りしてよー

やりづらいったらありゃしないから｣



A｢....? 仲直り....?

私が? 誰と?｣



北人｢壱馬ですよ

昨日大喧嘩してたじゃないですか｣



直人｢だから俺まだ落ち込んでるのかなーって思って起こさなかったのに

え、もしかして違うの?｣



A｢だって、私壱馬と喧嘩なんてしてないもの...｣



北人｢いやいやしてましたって、原因は知らないけど｣



直人｢屋敷中が何事だー何事だーってなってたよ｣






なにこれ、私と2人の言ってることがハチャメチャ



どういうことなの...



でも、とにかく喧嘩したことになってるなら


壱馬と今すぐにでも仲直りしなくちゃ....





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