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気を失うように倒れた2人に駆け寄れば、スースーと音を立てて眠っていた




臣を見ると、泣きながら健ちゃんと岩ちゃんを見つめている









隆二「.....何をした?」







広臣「......記憶を、消したんだ」







隆二「....は?」









非現実的なその言葉に首を傾げ、間抜けな声をあげると



臣はまた自分の家がある場所へと足を進めた









着いていくと、辿り着いたのは臣の家ではなくあの枝垂れ桜



臣はいつものようにその前に立ってポツポツと話し始めた









広臣「俺、生まれた時から記憶を操作する能力を持ってたんだって」





隆二「っ.....!!?」





広臣「その上に、親父と母さんは禁忌を侵した


だから子供の俺は呪われて.....狼になった


もう俺も、不死身だ」





隆二「禁忌...呪われ.....え?」









頭の中がグッチャグチャだ




昔....臣からこっそり聞いた話だと、狼と治癒能力者の間に生まれるのは


なんの力も持たない"普通の人間"なんじゃないのか?





それに....どうして禁忌だとか、呪われたとか



お前が知ってるんだよ









臣は、俺が言いたいことを察したのか桜の木に触れて話を続けた









広臣「こいつに...教えてもらったんだ。


聞こえた、母さんみたいに桜の声がな



.....俺に語りかけてきたんだよ」








隆二「そんなまさか.....でも澪様が聞こえたのは歌声だったって」







広臣「俺が、呪われたからだろ。」









そう言う臣の声と後ろ姿は震えていた





今となっては澪様の形見のようなこの桜から、



1度は聞いてみたいと願った歌声は聞こえずに....




事実を突きつけられ、さらには健ちゃん達に罵倒された








臣は何一つ悪くなんかないのに









大方、この先臣が何をしようとしてるかなんてわかる






だけど....させないからな









....俺は、俺だけは









臣の肩に手を乗せる









隆二「臣、俺はずっとお前の味方だから」









広臣「っ、」









聞けよ。俺の覚悟









隆二「そりゃ、皆いなくなったのは辛いけどさ


俺の記憶まで消そうとか、バカなことは考えるなよ


狼になった今....いつ死ぬかわからないのに1人で生きていこうとすんな


死ぬのは俺が先だろうけど、お前が"幸せ"を手に入れるまで絶対消えねぇから」








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alice(プロフ) - 更新待ってます (2022年7月4日 21時) (レス) id: a80118f41e (このIDを非表示/違反報告)
たみちゃん(プロフ) - 更新まってます (2021年5月2日 14時) (レス) id: 7abf16a1f4 (このIDを非表示/違反報告)
優香(プロフ) - 更新待ってます!! (2021年2月27日 22時) (レス) id: 7e0d954baa (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 読んでる途中で涙が出てきてとても感動しました!続き更新楽しみにしてます! (2020年12月12日 14時) (レス) id: 1a3d2bf338 (このIDを非表示/違反報告)
スペース(プロフ) - 更新楽しみにしてます( ; ; ) (2020年11月15日 1時) (レス) id: 1acb4fb06c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モペペ | 作成日時:2020年10月5日 12時

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