銀月の狼 3 【登坂広臣】

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隆二｢俺、あっち行ってるから...少し頭冷やせよ｣









隆二は混乱している俺を一人にしてくれた



きっと犠牲者には隆二の家族もいたはず



お互いに冷静になる時間が必要、か









瓦礫だらけの村から離れて来た道をもどると、



見えてきたのはあの枝垂れ桜





村は残酷な光景へと変わって、俺も何故か狼になったのに、この桜の美しさはいつもと変わらない



逆に不気味に感じるところだろうけど



母さんの最後の笑顔を思い出したら、そんな風には思えなかった








親父は...なんでこの桜だけ破壊しなかったんだろう




ほんの少しだけ良心が残ってたってか?




......ふざけんな。そんなわけない。




桜の木以上に尊いモノをアイツは奪ったんだ




絶対に許せない









銀色の毛髪が生えた額を桜の木に合わせれば、憎しみの感情とは裏腹に流れてくる涙








.....あぁ、狼になっても涙って出るんだな








鋭い爪が生えた前足を見て、やっぱり俺は狼なんだと実感させられる




狼から狼は生まれないはずなのに









何が神獣だ。




こんなの、ただのバケモノじゃないか





なんて醜いんだ









なぁ母さん、本当にこの桜には神が宿ってるのか?






それは本物なのか?






神様、いるなら俺のお願い聞いてくれよ






銀色のバケモノなんかもういらない






この先生まれるかもしれない治癒能力者もいらない






決められた運命なんて、いらないから









親父を沈める力を、俺にくれよ




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その時、桜の中から声が聞こえた




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